三菱自、なぜ今インドネシアで大規模投資か 日系ひしめく市場でシェア拡大狙うが…
三菱自動車が主力市場の東南アジアで成長加速に向けたアクセルを踏み込んでいる。タイ、フィリピンに続く、大規模拠点の計画が明らかになった。
同社の益子修会長は9月16日、インドネシアで新工場を建設する計画を発表した。首都ジャカルタの東、約37キロメートルにある工業団地に設ける。三菱商事と、現地の協力企業であるクラマ・ユダ社と共同で、3億5000万ドル(約370億円)を投じる。2017年前半に稼働する予定で、当初は16万台の生産能力を持ち、将来的には24万台まで拡大させる考えだ。
現在、三菱自動車のインドネシア唯一の生産拠点は、上記パートナー2社のみが出資する非連結の生産会社で、8万台の生産能力を持つ。小型SUV(スポーツ多目的車)の「アウトランダースポーツ(日本名:RVR)」や商用車を製造してきた。ただ海外事業のうち、インドネシアは2013年度で最も多くの車を販売した国であり、「今後の成長が大いに期待できる中、既存工場での生産拡大には無理があった」(益子会長)と、今回の工場建設の理由を説明する。新工場における出資比率については、「今後3社で話して決めたい」(同)と述べるにとどめた。
エコカー政策への対応が課題
同工場で生産するのは、新開発の小型MPV(マルチ・パーパス・ビークル)と、既存の商用バン2車種。MPVはインドネシアで最も人気の車種で、年間80万台弱(2013年)と、同国乗用車市場(同110万台)の半分以上を占める。7人乗り3列シートのミニバンのような車で、対象はファミリー向けだ。三菱自動車は車の開発などに2億5000万ドル(約270億円)を投資する。小型MPVの生産台数は年間8万台を見込み、うち2万台はインドネシア国外への輸出に充てる。
インドネシアでシェアが高い、トヨタ自動車やダイハツ工業、スズキといった主要メーカーは、すでにMPVを展開している。その一方、三菱自動車の商品群にMPVはなかった。2013年のシェアが同社を下回っていたホンダや日産自動車も、「モビリオ」、「ダットサン GO+」というモデルで、それぞれ今年に入ってMPVに参入している。3年先ではあるが、三菱自動車としても量販セグメントに車種を加えることで、「現在8%のシェアを13%まで高めたい」(現地販売会社KTBの辻昇社長)と意気込む。
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