JTBモチベーションズの調査によると施策の3大カテゴリーは「キャリア・成長の支援」「知識・能力・スキル向上」「コミュニケーション促進」とのこと。かなり、事細かにモチベーション向上に取り組む姿勢がわかります。一方、興味深いことに、就業意欲をモラールという言葉に置き換えています。たとえば、モチベーションの高さが継続していると「モラールが高い」と表現するのです。つまり、
モチベーション = 外的要因
モラール = 状態
のこと。モチベーションが高まり、モラール(=士気)が上がった、と使ったりします。では、会社で働く社員たちは何をモチベーションにしてモラールを上げるのでしょうか?
誰のために働くのか、を見極められているか
米国の作家で、ビル・クリントン政権下の補佐官を経て、アル・ゴア副大統領の首席スピーチライターを務めた、ダニエル・ピンク氏の作品である『モチベーション3.0』を参考にして要因を挙げてみたいと思います(余談ですが、ダニエル氏の新刊『人を動かす、新たな3原則』には当方が登場しています)。
本書ではモチベーションが生存(サバイバル)目的から、信賞必罰に基づく与えられた動機への変遷したのが1.0から2.0への発展。さらに3.0で自分の内面から湧き出る「やる気!=ドライブ!」が現代の重要な要素と書かれています。何かを学びたい、創造したい、世界を良くしたい……といった要求が満たされるとモチベーションが高まるということでしょう。
これは心理学者であるマズローの示した
第2段階:安全・安定の欲求
第3段階:所属・愛情/社会的欲求
第4段階:自我・尊厳/承認の欲求
第5段階:自己実現の欲求
の第4と第5にあたるともいえます。
取材していくと、内から湧き出てくる動機として「周囲のために役立つこと」を挙げる人が少なくありません。世界トップ100にランクインする超人気ブログ「Zen Habits(禅的生活)」を主宰するレオ・バボータ氏が
《仕事のモチベーションを保つには、誰のために仕事をしているのかを意識する》
と語ったのも同じような意図からでしょう。誰かのための役立つ動機づけができると、自分の存在価値を再認識して働く(生きる)意欲につながるのでしょう。ただ、その誰のため、というのは、いったい誰に設定すべきか? これは各自が置かれた立場で少々変わってきます。たとえば、現場で働く若手社員であれば
・目の前のお客様
・職場の同僚たち
と自分が認知できる範囲で十分。いわゆる、仲間意識、連帯意識が醸成できる対象範囲。ところがリーダークラスになると
・すべてのお客様
・会社(組織)全体
と、その範囲を広げることを会社側は期待します。ある意味、この動機づけの範囲を広げることが仕事上で役割をあげる条件と言えるかもしれません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら