沖縄「泡盛」が本土復帰50年で直面した最大の試練 酒税軽減措置の廃止で「泡盛離れ」に拍車も

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ただ、その道のりは険しそうだ。そもそも泡盛はビールなどの酒類と同様、若年層のアルコール離れや低アルコール飲料へのシフトを背景に市場が縮小傾向にある。泡盛の出荷量は2004年から16年連続で減少し、コロナ禍の2020年はピーク時の半分に落ちこんだ。

沖縄県酒造組合によれば2020年の琉球泡盛出荷数量は前年比で13.7%減少し、同年は泡盛製造業45社中、30社が赤字に陥ったという。

海外や県外への展開を進める

この状況の中、増税に備えた値上げに踏み切るのは容易ではない。比嘉酒造の太田氏は「スーパーなどでは、一升瓶の泡盛が希望小売価格よりも500円ほど安く販売されている状況。過当な安売り競争に陥っている」と話す。結果として、泡盛はコストパフォーマンスのよい安酒というイメージが根づいてしまった。

また、泡盛は8割が県内で消費されており、観光客の減少や県民の泡盛離れは大きな打撃だ。県外で販売するにも、酒税の差額と送料がネックとなる。比嘉酒造によれば、従来本土で販売する際には、一升瓶1本当たり200円から300円を上乗せしている。

だが、大手スーパーやコンビニは全国一律の販売価格を定めていることも、県外進出の課題となっている。県外での収益性を考慮した場合、沖縄県内での販売価格を今までより高くする必要があるという。

他方、海外進出については、内閣府や沖縄県が一体となり、泡盛の海外展開を促進するためのプロジェクトが2018年に設立された。酒造の情報発信や技術向上を後押しするもので、これによって蒸留酒に馴染みのある中国市場での展開や、海外レストランへの展開を進める酒造もある。

とはいえ、海外進出はまだ始まったばかり。泡盛の海外での販売比率は足元で全体の1%にも満たない。新型コロナの感染収束が不透明なこともあり、海外展開を積極的に進めるのも容易ではない。

酒税見直しまで10年間あるとはいえ、この数年はコロナ禍によるダメージからの回復途上にある。その中でいかに経営基盤を強化し、10年後の制度の廃止に備えるか。沖縄経済の一端を担ってきた酒類業界に、これまでにない試練が課されている。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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