中国人が「独身の日」に爆買いしたブランドTOP30 中国SNSのビッグデータを分析してわかった現実

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こうした「静かな最大商戦」の様子はクチコミビッグデータ上にも現れた。株式会社トレンドExpressでは、ダブルイレブンの状況をクチコミから考察するため、Weiboを中心とした同商戦に関連したクチコミの調査分析を行った。

まずダブルイレブンそのものに関するクチコミ件数を見ると、2020年では約500万件、コロナ以前の2019年では約430万件あったが、2021年には一気に約110万件へと大きく減少していた。同時に「理性消費」というキーワードのクチコミ件数が、コロナ前の2019年は2014件だったのが、2021年は5225件と約2.5倍増加したのは、それと無関係とはいえないだろう。

中国では現在、「共同富裕」という政策が掲げられている。その中で、個人が富を誇るような発信、過度な購入を“煽る”ための情報発信は自粛され、行政や官製メディアが「理性的な消費」「必要に応じた消費」を呼びかけた形跡が見て取れる。

また、芸能人やそのファンコミュニティが、影響力を利用して消費を“扇動する”ような情報発信についても変化があった。“推し”に投票できるチケット付き商品の販売など、いわゆる「飯圏文化」に対する規制も相まって自粛ムードが流れ、情報発信および拡散施策が減少している。

ダブルイレブンで“買われたブランド”のランキング

とはいえ、商戦そのものの取引総額は相変わらず成長しているところを見ると、やはり「物は売れている」と言えそうだ。ではどういったものが買われたのだろうか。Weiboに「ダブルイレブン×買った」というキーワードとともに投稿されたブランド名を抽出、その件数順のランキングを作成し、2020年、2019年のそれと並べてみた。

1位は3年連続で「Apple(「iPhone」のこと。中国では一般的にiPhoneをAppleと呼ぶ慣習がある)」が獲得。その他のスマホブランドでは、「Xiaomi(小米)」がランクを上げており、それまでの「Huawei(華為)」や「OPPO」、「VIVO」などの中国ブランドを圧倒する勢いを見せている。これを見ると、デジタル強国である中国の国内ブランドでプレーヤーチェンジが続いていることが見て取れる。

ダブルイレブンでのスマホ人気の背景として、日本以上のデジタル社会である中国では、ハイスペックなスマホの需要が高い。その一方で、日本のように平常時から通信会社の特典プランなどでハイスペックなスマホを格安購入できる機会は限られていることや、スマホ端末のみでの購入が一般的であることから、こうした大型商戦が最安値で買える数少ない機会となる。消費者にとっては絶好の買い時となるため、商戦時期になるとお得に購入できるEC店舗の情報が飛び交う。それがSNS投稿(クチコミ)の増加にもつながっている。

ランキング上位には化粧品ブランドも多数入っている。「国潮」という自国の伝統文化や老舗ブランドを再評価するトレンドに乗って火がついた中国ブランド「Florasis(花西子)」が3位に躍進。それに次いで、4位にフランスの化粧品大手「ロレアル」、5位にアメリカの化粧品大手「エスティーローダー」が顔を見せた。

中国の新興化粧品ブランド「PerfectDiary(完美日記)」は若干ランクダウン。欧米ブランドとの厳しい競争で、勢いが減速した印象だ。日本勢では「SHISEIDO(資生堂)」が着実にランクを上げているほか、アメリカ企業の日本法人が手がける「SK-Ⅱ」(中国では日本ブランドと認識されることが多い)がランクインしている。

その他のカテゴリでは、テレビや音響機器、家庭用ゲーム機などで人気を高めた「SONY」もトップ20圏内に入り存在感を示した。

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