中国人が「独身の日」に爆買いしたブランドTOP30 中国SNSのビッグデータを分析してわかった現実

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こうした「W11×買った」で投稿されたブランド名を中国系、欧米系、日系、韓国系に分けて件数を集計、その比率を計算した。これを見ると、中国系が46.2%と最も高い比率を占め、欧米系が40.6%、日系9.9%、韓国系3.4%となった。

2019年、2020年と比較してみると、変化がよりわかりやすい。中国系は2020年に比べればその比率を落としているが、コロナ前よりも高い状況にある。翻って欧米系は年々その比率を減らしている。

全体的には中国系、欧米系が大きく占める中、日系や韓国系のブランドが食い込むという図式が構築されている。

そうした環境下において、2021年は日系ブランドが投稿数でのシェアを上げたことから、競争の激しい中国市場で健闘したと言えるだろう。

中国ECの中心「ライブコマース」はZ世代が動かす

さて、中国のECでは数年前から「ライブコマース」が主な購買チャネルとなっている。ダブルイレブン期間のライブコマースに関するクチコミを見ると興味深い結果が得られた。

「W11×ライブ」をキーワードにクチコミを抽出したところ、2021年は2019年、2020年に比べてクチコミ件数を減らしていた。これには先述した自粛ムードが影響していると推測される。

しかしその減少の度合いは、「W11」をキーワードに抽出したクチコミと比べて、明らかに低いものだった。さらに「W11×ライブ×買った」というキーワードでクチコミを見てみると、なんと2021年は増加に転じている。2020年は7万9916件だったのが、2021年は14万2704件にもなったのだ。

こうした状況には、中国の消費者の「ダブルイレブン自体にはあまりアピール(SNS投稿)する必要を感じていない」が、「ライブコマースでの購入はアピールしたい」という心理が見え隠れする。

その背景を想像するに、ダブルイレブンに“単純にお得になった商品を買う”という行為自体はすでに何ら珍しいものではなくなっている。だが、「ライブコマースでショッピングをした」という体験はSNS上で“晒す”に足る価値があると感じているのだろう。

ライブコマースのようなコンテンツを通じた購入は、例えるならエンターテインメント体験を通じて購入したような感覚になり、SNS投稿が誘発されると考えることができるかもしれない。

ちなみに、Weibo上に「W11×ライブ×買った」というキーワードを含んでクチコミ投稿を行ったユーザーの年齢層比率を見てみると、10代および20代の若者層で70%近くを占めていた。

つまりは前述のように「W11で購入する」ことではなく「ライブコマースによって購入する」ということをエンターテインメント感覚で捉えているのは若者層。とくに10代~20代が中心となっていることがわかる。今後の商戦もこうしたZ世代を含む層がライブコマースの中核消費者として商戦消費を動かしていくと考えられる。

クチコミ状況からも変化の兆しが見られる中国のEC商戦。今後そこにどのように挑むのか、日本企業も変化に順応しながら中国市場攻略の戦略を考えていく必要があるだろう。

森下 智史 「中国トレンドExpress」編集長

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もりした さとし / Satoshi Morishita

高校卒業後、約10カ月間日本で中国語を学ぶ。1998年2月~上海で学部および大学院(中国古代史)で学ぶ。2005年に卒業後、上海で在留邦人向け情報誌の編集・ライターとして勤務。2012年に日系市場調査会社上海現地法人でマーケティングリサーチ(産業調査)業務に携わる。2015年5月、17年間の中国生活に区切りをつけ、帰国。東京で日中間のビジネスコンサルティング業務を経て2018年1月にトレンドExpress(現・NOVARCA)入社。現在はマーケティング事業部プランニング部に所属し、クライアントのプロモーション施策立案、中国情報の提供およびNOVRACA自社分析レポートの企画作成などの業務に携わっている。

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