ほとんどの日本人が知らない金融危機の裏側 不安定な信用システムとの正しいつきあい方

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金融機関による価格提示/流動性供給が止まったとき―─つまりこのお金の階層間のマーケットが消え、流動性がなくなったときに、金融危機が起こる。トランクに紙幣があっても中央銀行が破綻すればそれは紙切れだ。昨日までは、銀行に預金があれば「お金持ちだな」と思われても、取り付け騒ぎが起これば、銀行の預金は無価値になる。昨日まで担保価値を持っていた証券が、金融危機ではまったく無価値になる。

このお金の階層の間に存在する各種の市場が、マネーマーケットだ。あるいは短資市場とも呼ばれる。株や債券の取引が行われる資本市場とはちがって、一般人が関わることはまずない、その筋の人しか知らない世界だけれど、ここの働きが世の中の「お金」すべての動きを決める。

マネービューがもたらしてくれる知見

でも、なぜ金融機関は価格を提示できて、いつも取引に応じられるのか。また、そのシステムにおける中央銀行やシャドーバンクの役割は何なのか。詳細はぜひ本を手にとってご覧いただきたい。

さて、マネーマーケットなどというのは、本当に銀行などの実務屋にしか関係がない、裏方の配管だ。が、10年ごとくらいに世界は何かと金融危機に直面し、その大きな原因はこの配管の部分と関係している。だから次第にその配管への関心も高まっている。

そして多くの人も、そこらへんをなんとなく感じているのだとは思う。その危機のたびに、やたらに資本主義の危機だの資本主義の超克だのという話を聞かされ、その中でやり玉にあがるのは、往々にしてお金だ。いまの仕組みを打破するためにお金を改革しろとか、信用/負債がいけないのだ、といった話がしょっちゅう登場する。そうしたお話の不十分さについても、マネービューはそれなりの知見を与えてくれる。

たとえばビットコインは、お金のあり方を一変させ、それが現状の金融機関や政府がでっちあげる「信用通貨」なるインチキなつくりもののお金に取って代わり、経済システムを再編するのだ、などと喧伝されることも多い。

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