中国の急成長を陰で支えた「2階建て列車」の功績 高速鉄道の開業前、輸送力アップの切り札に

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2階建て25B型には寝台車バージョンもあり、筆者も乗る機会があった。新疆ウイグル自治区南西部のカシュガルと自治区の中心都市・ウルムチを繋ぐ「快速列車」で、食堂車を除く編成車両がすべて2階建て車両で構成されていた。

寝台車の上級カテゴリーである軟卧車は通常、コンパートメント(個室)内に上下2段のベッドが備え付けられているが、2階建て車両の上層(2階)は個室内の左右にベッドが並ぶツインルームとなっており、広々と使えるのが嬉しかった。外国人には積極的に上層階を割り当ててくれるということだった。

26時間以上かけて走る列車なので日中の風景も楽しめる。高い目線からのタクラマカン砂漠が広がる風景は、圧巻だった。

急速に進んだ高速化

1994年には広深鉄路(広州―深圳間)の線路改良が完了し、最高時速140kmの準高速走行用の車両「25Z型」が走り出した。「Z」は「準(中国語では准Zhun)」の頭文字を取ったものだ。25Z型は当初、単層車両で広深鉄路を運行し、当時まだ英領だった香港への乗り入れも果たした。

広州―深圳間のシャトル運行には25Z型の2階建て車両「SRZ25Z」「SYZ25Z」が使われた。列車本数は増えたものの、多くは短い5両編成だった。軟座は日本の特急車両などのような一般的な開放式客室のほか、4人または2人用の個室が多数あり、あまり使い勝手のいい車両には見えなかった。個室が多いにもかかわらず、出札スタッフがそれを理解しておらず、2人連れや家族連れの部屋が別々になることも往々にして起きていた。

中国では「鉄路大提速」と称するスピードアップを、高速鉄道の本格運行開始直前の2007年4月までに計6回実施した。その1回目は1997年4月で、主要幹線の準高速化が実現。この際、25Zの進化版「25K型」がお目見えした。

杭州駅に停車中の25K型2階建て客車=1999年9月(筆者撮影)

25Kの「K」とは「快 Kuai」の頭文字で、25Zよりさらに速いことを示している。25Kは大都市近郊圏相互間や、主要都市間(北京―上海間や香港乗り入れ用など)の優等列車に投入された。25Kにも2階建て仕様が造られ、北京―瀋陽間を皮切りに全国の昼行優等列車に導入。上海周辺地域では、2階建て25B型を置き換えた例もあった。「25Z」にはなかった2階建ての寝台車バージョンも造られた。

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