同じ「花屋」でもコロナ禍に明暗が分かれた理由 決算書比較「ビューティ花壇VS花キューピット」

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そして、このビジネスモデルは花を物理的に移動させずに流通させることを可能にしています。その結果、花キューピットによれば1日に約150万kmもの移動距離を削減しており、二酸化炭素の排出量を2020年4月から2021年3月までの1年間で142.3トン抑制しているとされています。

花キューピットのサービスがスタートしたのは、1953年(昭和28年)のことです。当時は、現在のような物流ネットワークがなかったので、このようなビジネスモデルがつくられたのですが、それが結果として「地球にやさしいフラワーギフト」サービスを生み出したわけです。

ビューティ花壇が保有する有形固定資産の正体は?

続いて、ビューティ花壇のB/S(図1)について解説しましょう。

ビューティ花壇が展開しているのは、「生花祭壇事業」「生花卸売事業」「ブライダル装花事業」です。

生花祭壇事業とは、主に葬儀会社に対して、生花祭壇や供花などの商品の制作・設営を行う事業です。生花卸売事業では、生産者から生花を仕入れ、それを生花小売店や葬儀会社に対して販売しています。また、ブライダル装花事業では、結婚式場への卓上花やブーケなど、婚礼に必要な生花商品を販売しています。

ビューティ花壇では、小売店(フラワーショップ)は展開していませんが、生花祭壇を生産する営業所を各地に保有しており、それが固定資産に計上されています。

ビューティ花壇のB/SとP/Lの比例縮尺図を並べて比較したものが図3です。ちなみに、花キューピットについては決算公告で簡略なB/Sしか開示していませんでしたが、ビューティ花壇は上場企業ですので詳細なB/SやP/Lも開示されています。

図3:(出所)『見るだけで「儲かるビジネスモデル」までわかる 決算書の比較図鑑』

この図を見ると、P/Lの左側の費用合計が約55億円になっているのに対して、B/Sの左側の資産合計が約22億円と半分以下になっており、P/Lに比べて、B/Sの規模がかなり小さいことがわかります。

ビューティ花壇のB/Sの規模が小さい理由としては、扱っている商品が生花であるため、棚卸資産(在庫)の金額が小さいこと、売掛金ならびに買掛金の回転期間が比較的短いこと、そして生産にあたって大きな設備を必要としないことが挙げられます。

花キューピットとの比較では、ビューティ花壇のB/Sにおける固定資産の割合が相対的に大きくなっていましたが、P/Lとの対比でいえば、ビューティ花壇はそれほど資産を必要としない、軽量型のビジネスモデルであるといえるでしょう。

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