沢井製薬、渡りに船だった「問題会社」の買い取り 製造不正を起こした小林化工に見いだした価値

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沢井には薬局などから代替品の注文が殺到。日医工のつまずきから予想外の注文が押し寄せたが、嬉しい悲鳴とはいかない。比較的需要が安定している医薬品の生産計画は年単位で決められており、すぐに増産することができないからだ。

急増する需要に対し、同社は既存工場をフル操業させた。2021年4〜9月期の販売数量を前年同期比で20%伸ばし、4月に15%だったシェアは半年で17%になった。業界の競争は厳しく、直近3年かけて1ポイント弱のシェアを伸ばしたのと比べると“急上昇”といえる。

足元は供給がまるで追いつかないため、新しい取引先からの注文を制限し、もともと取引があった薬局や医療機関への出荷を優先している。2022年度には生産人員を確保し10%の増産を見込んでいるが、それでもなお需要を満たすにはほど遠い。

工場新設ともう1つの方策

こうした状況を受け、400億円以上を投じて九州にある工場内で新しい製剤棟の建設を始める。現在ある国内155億錠(年間ベース)の生産能力に、さらに30億錠を上乗せする計画だ。だが、工場ができあがって出荷が始まるのは2024年4月からになる見込みだ。

そこで沢井が目を付けたのが、小林化工に眠る「生産機能」だった。

取得交渉は、沢井側から小林化工の親会社であるオリックスへ持ちかけたという。「製造を再開されるのかどうか、今後の方向性を聞いていた中で(生産設備譲渡の)意見が一致した」(サワイGHDの澤井会長)。

今回の取引の利点は、小林化工という会社そのものを買収しないので、同社が持っていた製品を引き継がなくて済むこと(従来品は小林化工が承認取り消しの作業を行う)。そのため、不正のあった製品などを改めて出荷させる必要がなく、再稼働させるまでの時間も大幅に短縮できる。沢井にとって必要な薬の製造だけを行える。

取得する福井県の工場の製造能力は、九州で建設を計画している自社設備と同じ30億錠。従業員への教育など体制が整えば、2023年4月にも出荷が始められる見通しだ。

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