アップルウォッチが持つ意外と深い広がりの意味 目論むのは生活サービス全体のエコシステム覇権

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アップルはまた、このエコシステムを自社デバイスのみならす、サードパーティが展開するヘルスケア関連のIoT製品群にもオープンにしていくことになるでしょう。そうなれば、iPhoneやアップルウォッチはスマートヘルスケアのプラットフォームとしてますます成長し、さらなるヘルスケア関連の商品・サービス・コンテンツが展開されていくことになるでしょう。

さらにその先には、アップル自身がリアルな病院やクリニックを運営する「アップルクリニック」も視野に入ってくるはず。アップルではすでに、自社製品を生かした社員用のクリニックを展開していることが知られています。そこで高速PDCAを回して経験値を積み上げ、時機をみて一般向けに公開する、そんな未来が開けています。

「アップルウォッチ」と「Apple Fitness+」

アップルウォッチは単なる「スマートウォッチ」ではなく、健康管理、医療管理のウェアラブル機器としての性質を強めています。もともと、歩数やエクササイズ時間などが表示される「ヘルスケア」アプリが知られていましたが、シリーズ4以降はECG(心電図)機能を搭載するなど、機能を拡張しているのです。その代表的な機能を、アップルのコーポレートサイトをもとに解説すると、次のようになります。

・血中酸素濃度センサー:最新のシリーズ6から搭載された機能です。背面にある赤外線センサーが、約15秒で血中酸素濃度を測定。ユーザーは血中にとりこまれた酸素のレベルを確認でき、どう変化するのかも追跡できます。
・心拍数の通知:アップルウォッチはバックグラウンドで心拍数をチェックしており、重い症状の兆候を探ります。
・心電図アプリケーション:シリーズ4以降から、心電図アプリケーションを搭載。頻拍や動悸などの症状の発生や不規則な心拍をチェックします。
・メディカルID:救急隊員や緊急治療室の医療従事者が、パスコードなしでユーザーのiPhoneのロック画面やアップルウォッチから重要な医療情報を確認するための仕組みです。

「Apple Fitness+」は、ヨガやダンスなどのワークアウトを、コーチのインストラクション映像と音楽とともに配信するサービスです。その最大の特徴は、アップルウォッチやiPhoneなどと連動していること。心拍数などアップルウォッチで計測したデータとiPhoneなどで見るコーチング動画が同期するほか、専属トレーナーが、データにもとづいてワークアウトのトレーニングを提案してくれるのです。

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