英ダイソンが放つロボット掃除機の破壊力 16年の開発期間経て日本で先行販売

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現在、ロボット掃除機では「ルンバ」が圧倒的に先行している。ダイソンもこれに続いて開発に取りかかったのかと思いきや、実はロボット関連の研究は16年前から行ってきたという。ダイソン氏は若いころ、「14年にはこの世界がロボットで満ちあふれている」と考えており、それが開発を始めるきっかけとなったようだ。ダイソンがロボット掃除機の研究開発に費やした費用はこれまでで2800万ポンド(約49億円)に上り、200人以上が開発に関わっているというのだから、相当の力の入れようである。

掃除機以外の家庭用ロボット開発も?

ダイソンはこのほかにも、英インペリアル・カレッジ・ロンドンと共同で運営するロボット工学研究所に対し、5年契約で500万ポンド(約8.75億円)を出資するとしている。ロボット掃除機だけではなく、ロボット工学全般の研究を進める考えで、今後新たな家庭用ロボットが登場する可能性も大いにある。

家電量販店では、増税前の駆け込み需要の反動で冷蔵庫や洗濯機の売れ行きが落ちている一方、掃除機は絶好調だという。GfKジャパンによると、掃除機の販売台数は13年、前年比9%増の約877万台で、4年連続で増加している。背景には、日々の掃除にはロボット掃除機を使い、気になった場所はスティック型などで自ら掃除するという“2台持ち”が広がっていることがある。

現在、3万円以上の国内ロボット掃除機のシェアは約8割がルンバと圧倒。東芝もこの9月に毎日のゴミ捨てを不要にした「トルネオ ロボ」を発売。ダイソンも来春、ロボット掃除機に参入とロボットブームが続く。消費者の2台目需要の増加を受けてさらなるロボット掃除機の戦いが勃発しそうだ。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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