永守重信「高学歴と仕事の良しあしは全然関係ない」 日本電産創業者が大学運営に本気で取り組む意図

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――永守さんの言う「とんがり人材」と社会や組織に順応できない人は紙一重ではないでしょうか。

多くの人は自分の興味があることに対して一生懸命やる。「本当は美術大学に行きたかった」と絵を描くのが好きな人が、親から「有名国立大学に行け」と言われて、そうした道を選ぶケースは少なくない。これからの人生100年時代でどうやって生きていくのか、これからの社会でどうすればいいかわからない人が多い。

とんがり人材は自ら考えて行動する。型にはまらない。だから親の言うことは聞かないし、先生の言うことに対しても「どこが悪いのか」という感じだ。変な格好しても、それはそれで目的がはっきりしているからそれでいいんだという人たちだ。

私には2人の息子がいるが、私も妻も「勉強しろ」とは言わなかった。中学や高校を出たら働いてもいいよと、「一生懸命勉強して、一流大学出ても、社会に出たら変わらない」と言っていた。自分の子どものことをあまり褒めないが、非常に自然体に学んできて、コミュニケーション能力があって、今は会社の社長をやっているが経営も上手だ。

経営者は孤独、だんだん心の世界に入っていく

――著書『成しとげる力』に出てくるエピソードとして、日本電産の入社を迷っている学生が、もう1社検討していた会社があり、そこの社長が「日本電産はいずれ当社が買収する」と言っていたという話がありました。その会社の経営者がご子息の1人だったそうですね。

その息子に「お前、ほらを吹きすぎじゃないか」と言ったら、妻は「あなたも私と付き合っていたころは、もっとほら吹きだった」と言われた。実現するかは別にして、夢が大きい青春時代、そういう気持ちで毎日生きているのは楽しい。最近はこういうことを言う人も少なくなった。

『成しとげる力』(サンマーク出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

私は50年間、京都の九頭竜大社に通っている。「これが成功しますように」と神様に頼みに行くのではなく、「私はこういうことをやります。必ず成功させます」と決意を聞いてもらう。この歳になって、誰かに決意を述べることもないし、経営者は孤独だ。だんだん心の世界に入っていくようになる。

若い人は偉そうなことを言えないが、私もこの業界で最年長になってきた。偉そうなことを言うわけじゃないが、長く働いて、生きてきて、経営してきて、そこにはやはり「心」というものがある。

前回:「永守重信『理想と夢なくしては成しとげられない』」(12月7日配信)

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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