世界規模で直面する「人口減少」の静かなる脅威 人類が「レッドリスト」入りすることになるのか

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少子化は日本だけでなく世界規模で進み始めているようです(写真:ilixe48/PIXTA)
世界の人口は増加の一途をたどっていると思いがちですが、「すでに地球規模で少子化が進み始めており、世界人口が減少に転じるのは、もはや時間の問題だ」と言うのは『未来の年表』の著者・河合雅司氏です。人類の課題は今後、人口爆発がもたらす弊害から、人口減少がもたらす課題へと大きく転換するといいます。これから先いったい何が起きるのでしょうか――。河合氏の新著『世界100年カレンダー』を一部抜粋し再構成してお届けします。

人口爆発による成長の限界

「あと30年もしたら、石油は掘りつくされてしまう」――。私が子どもだった1970年代、人口爆発への懸念がよく語られていた。1973年、のちに高度経済成長を終焉させることとなる第1次オイルショックが起きたためだ。

第1次オイルショックのきっかけは、第4次中東戦争で原油の供給制限と輸出価格の大幅な引き上げが行われたことであり、人口爆発と直接的な関係があったわけではない。だが、世界人口の爆発的増加で消費量が増えれば、エネルギーに限らずさまざまな資源の枯渇が加速するとの認識が広がったのである。

街のネオンサインは消され、テレビの深夜番組は打ち切りとなった。多くの人が「省エネ」を強く意識するようになったのも、このときからだろう。

過剰反応も生んだ。馬鹿げた話なのだが、オイルショックによって物資が不足するのではとの噂が広がり、日本各地でトイレットペーパーや砂糖などの買い占め騒動が起きたのである。

人々がオイルショックと人口爆発を結び付けたのは、世界の有識者が集まって地球規模の課題を研究し啓蒙するために設立された民間組織「ローマクラブ」の影響が大きい。前年の1972年に、「成長の限界」というレポートを発表したのである。

その内容は天然資源の有限性を説くもので、第2次世界大戦による荒廃から立ち直り、物質的な豊かさを追い求めていた当時の人々に非常に大きな衝撃を与えた。必然的に人々の関心は世界人口にも向くこととなった。

20世紀は、科学技術と経済成長の時代として特徴づけられるが、実は「成長の限界」が懸念されるほどに猛烈な人口増加が起こった時代でもあったのだ。そのすさまじさについては、のちほど詳述する。

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