狙うは船舶の排水処理、始まった特需争奪戦

近づく規制強化、水処理業者は虎視眈々

一方、水処理最大手の栗田工業は主流のフィルター方式と一線を画し、食品添加物指定の薬剤だけで処理する方式を採用。IMOの最終承認を待つ段階だ。ターゲットは既存船の改造用で、「部品の構成点数を減らし、短工期でランニングコストを抑えたシステムで差別化したい」(中山哲・経営企画室新規事業推進部長)と攻勢に出る構えだ。

業界が勢いづくきっかけは、日本がバラスト水管理条約を締結する前提となる法律が今国会で可決されたこと。条約の発効には、締結国30カ国以上、締結国の合計商船船腹量が世界の35%以上という条件がある。締結国数は40カ国と達している一方、船腹量は30.25%にとどまる。だが、日本の船腹量は世界の2%弱で、ここに締結準備中とされるトルコやアルゼンチン、イタリアの分を足せば34.21%となり、早ければ年内、遅くとも来年に35%に達する可能性が高まってきた。

一部では冷めた見方も

ただし、基準作成や国同士の利害調整に時間を取られ、条約採択から10年が経過しようとしている。「発効は当初のもくろみからは大幅に遅れている」と語る業界関係者も少なくない。船主側からすれば、水処理装置の導入で数千万円から億円単位の追加投資を迫られるため、対応をできるだけ先送りしたいのが本音だろう。実際、受注に動いたが、「盛り上がりはいま一つ。船主の意識が変わればいいが」と漏らす企業もある。

とはいえ、条約発効の“Xデー”は遅かれ早かれ訪れる。目下、国の支援を受ける韓国企業や価格競争力を武器とする中国企業、さらには北欧企業まで、各国企業が動き出している。特需として期待される規模が大きいだけに、今後の受注争奪戦はいっそう熾烈なものになりそうだ。

(「週刊東洋経済」9月6日号(1日発売)の「核心リポート04」から転載)

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