住みたい街トップは、なぜ吉祥寺なのか

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 しかし一方で、ヒトの求心力は必ずしも強くはない。吉祥寺駅の1日当たりの乗降客数(2008年度)は14・3万人で、JR中央線沿線では立川(15・8万人)には及ばないものの、三鷹(9万人)には大きく水をあけている。

しかし、5年前比増減率では立川(8・5%増)、三鷹(7・0%増)に対し、吉祥寺は2・9%増にすぎない。人口の増減率(09年の住民基本台帳ベース)でも三鷹市が2・9%増、立川市が2・3%増なのに対し、武蔵野市は0・5%増にとどまっている。

さらに、東洋経済が安心度、利便性度、快適度など五つの観点から経済指標によって算出する「住みよさランキング」では、武蔵野市は全国787都市中140位と平凡な結果となっている。

これらのギャップはどう説明すればいいのか。

「街の評価基準が大きく変わってきた」というのは、ニッセイ基礎研究所で都市デザインを研究する池邊このみ上席主任研究員。これまでの指標の多くが下水道普及率や緑化率など街のハードスペックの定量的なものだったのに対し、景観や健康など持続可能性に視点を当てた評価基準重視に移りつつあるというのだ。

池邊氏が注目する指標に英国の登録チャリティ団体が運営する「LivCom Awards」がある。これは景観の改善実績、自然・文化・歴史遺産の活用、コミュニティとの参画・協働など六つの審査項目を通じて世界の都市を評価、表彰するもので、日本ではこれまで横須賀市、浜松市などが受賞した。

池邊氏がもう一つ挙げたのが宮崎市の「健康みやざき市民プラン」。健康をテーマに目標指標を掲げ、その中には「父親の育児へのかかわりに満足している母親の割合」や「眠るときに睡眠剤やアルコールの助けを借りている人の割合」などのユニークな項目が数多く含まれる。

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