日本人が恐れるべき「灰色のサイ」はどこにいるか 身近なリスクを見逃し続ければ巨大リスクになる

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●部屋の中の象(The elephant in the room)……経済用語だけで使われるというわけではないが、英語の慣用句のひとつで「ディ・エレファント・イン・ザ・ルーム(部屋の中の象)」という言葉がある。想像していただくとわかるが、部屋の中に巨大な象がいたら大騒ぎになるのだが、誰もそのことに触れないで日常生活が営まれる。会議室の中に、巨大な象がいるのに、誰もがそのことに触れない。

全員が、事の重大さを認識しているにもかかわらず、あえて触れようとしない問題を抱えた状況と考えればいい。なかなか言葉に出して言いづらい問題と言うのは、実はわれわれの日常生活の中に少なからず存在する。

たとえば、大型合併で企業の中に大きな派閥ができてしまっている場合、誰もその派閥の問題には触れようとしないことが多い。そのために、ビジネス上の弊害が出たり、トラブルになってしまったりすることがあっても、誰もその派閥のせいだという指摘をしたがらない。部屋の中の象とは、まさしくそんなイメージといっていい。これが政治やマクロ経済の話となると、もっと深刻な問題になる。

日本の場合は、わかりやすくいえば富士山大爆発や、関東大震災級の大地震の到来になるのかもしれない。ただ日本の場合、歴史的に見てその確率が非常に高いために、部屋の中の象というよりは、灰色のサイやブラックスワンとして扱われている、と考えたほうがいい。政治的に言えば、最近話題になっている国会議員の文書交通費の是非も、国会議員の間では部屋の中の象だったと言える。

ぬるま湯相場の先に大暴落はある??

ちなみに、こうしたさまざまなリスクとともに語られる言葉に「ゴルディロックス(ぬるま湯)相場」というのがある。加熱しているわけでもなく、かといって閑散としているわけでもない適度な相場のことを示し、適温相場とも言われる。イギリスの有名な童話「3匹のクマ」に出てくる、暑くもなく冷たくもないスープから来ている相場用語だ。主人公の少女の名前「ゴルディロックス」に由来していると言われている。

このゴルディロックス相場が長期間にわたって続いているということは、「リスクオン相場」が継続していることを意味しており、リーマン・ショックの直前にも盛んにこの言葉が使われた。コロナ禍での現在のアメリカの株式市場も、このゴルディロックス相場と言われている。しばしばゴルディロックス相場は、その後の大暴落などにつながることもあり、警戒を要すると指摘する専門家も少なくない。

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