30代女性が"夜逃げ"した「ヤバい格安賃貸」の正体 安心できる住まいが見つからない若者の窮状

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新型コロナ災害緊急アクションにSOSのメールを発信してくる人の多くは20代や30代の派遣やアルバイトといった非正規労働者である。正社員はほとんどいない。さらに共通点を上げるとすると、一般の賃貸アパートで暮らしていたという人もきわめて少ない。

非正規雇用のような低水準の給与で、いつ雇い止めに遭うか分からない状況では、高額な初期費用を用意したり、家賃を払い続けたりすることが難しいからだ。言い方を変えれば、低所得者向けのアパートが不足しているという問題でもある。

また、連帯保証人の代わりに保証会社を利用する大家が増える中、一度でも家賃滞納などの履歴があると、保証会社の審査に落ちてしまうので入居自体のハードルが上がっている。

頼れる実家があればよいかもしれないが、多くの場合、親による虐待や親世帯も貧困といった理由で実家に身を寄せることも難しい。そもそもフルタイムで働いても1人暮らしもできないような働かせ方のほうがおかしいことはいうまでもない。

ではこうした若者たちはどこで暮らしているのか。

シェアハウスやネットカフェが受け皿に

最も多いのは賃貸アパートに比べて初期費用が圧倒的に安いシェアハウスである。またネットカフェや個室ビデオ店を住まい代わりにしているという人も珍しくない。

ただ、賃貸アパートに比べて借主の立場が弱いシェアハウスは悪質な追い出し被害に遭いやすい。また、ネットカフェの宿泊費は家賃に比べて割高になることが多く、極端に食費などを切り詰めるか、所持金が尽きれば路上生活になるしかない。

派遣で働きながら、派遣会社の用意した寮で暮らしていたものの、雇い止めに遭い、同時に寮からも追い出されて路上生活になってしまったというのも典型的な事例のひとつだった。リーマンショックのときも社会問題となった寮付き派遣である。

このようにシェアハウスやネットカフェが賃貸アパートを借りられない若者たちの住まいの“受け皿”となっていることはすでによく知られた実態だ。

それに加えて、新型コロナ災害緊急アクションには、ミユキさんのような脱法ドミトリーのほか、実は職場内で寝泊まりしている、友人宅に居候しているなど、およそ住まいとはいえない場所からのSOSも少なくなかった。コロナ禍で住まいの貧困の“多様化”が進んでしまっている現実が浮き彫りにされた形だ。

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