コロナ禍初、欧州「鉄道見本市」はどう変わったか 入場に「ワクチン証明書」、目玉の新車展示なし
2年前の2019年と比較すると、出展者数は前回の19カ国245社からかなり減っており、まだコロナ禍の影響が残っている感は否めない。出展者が減った関係か展示場内での会場も変更され、地下鉄や鉄道の駅から最も遠い、一番奥の会場が使われた。前回は駅から近い一番手前の会場だったので、大きな違いである。
駅から展示場へ入るゲート付近では、セキュリティーチェックと同時に体温検査とEUが発行するデジタルワクチン接種証明書、もしくはPCR陰性証明書の確認が行われる。これはイタリア政府の方針に基づくもので、EUで発行された証明書であればどれも有効だ。
2021年11月現在では、レストランでの飲食のみならず、こうした大型施設への入場や、列車へ乗車するにも証明書が必要となっている。つまり、ワクチン接種もしくは陰性証明書がなければ、会場へ辿り着くのも困難というわけだ。展示会場の入口では、入場券と共に再度各種証明書の提示を求められ、ようやく中へ入ることができる。
新車展示はなくモックアップだけ
さて、気になる会場内の展示だが、参加企業が少なかったこともあって、全般的に小規模な印象を受けた。展示スペースも会場の半分ほどで、以前のように各社のブースで埋め尽くされるというほどではなかった。
こうした見本市で最も注目を集めるのは車両メーカーによる新型車の発表だが、これはタイミングに左右されるため、目玉となる新車がなければ展示も発表もできない。
例えば前々回の2017年は、イタリアの高速列車「イタロ」の新型「.italo EVO」の実物と、新型近郊電車「ポップ」のモックアップがお披露目された。イタロの新車は予約制のシャトルバスで車庫まで移動しての見学となり、ポップのモックアップは発表の時間までカバーをかけ、盛大なお披露目式典で姿を現すといった演出まで行われた。
ところが今年で言えば、実物の新車についてはゼロだった。シーメンスや日立といったよく知られる大手メーカーも新型車両の発表や展示はなく、唯一スイスのシュタドラーがミラノ市向け新型トラムのモックアップを展示したくらいだ。目玉となる展示を欠くという点では寂しさは否めなかった。
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