相次ぐ「電車内凶行」に日本人が再認識すべき教訓 思い出される凄惨な「地下鉄サリン事件」の怖さ
電車内での事件が相次ぐ。10月31日、ハロウィンの夜8時ごろ、新宿に向かっていた走行中の京王線の特急電車(10両編成)で、3号車(前から8両目)に座っていた72歳の男性がいきなり映画『ジョーカー』を模した衣装の男に殺虫剤をかけられ、刃渡り約30センチのナイフで胸を刺される。
それから次の獲物を狙うように車両を移動すると、5号車(同6両目)で2リットルのペットボトルに入れたライターオイルをまいて火をつけた。悲鳴をあげながら逃げ惑う乗客。電車は国領駅で緊急停車したもののドアが開かず、行き場を失った乗客たちは窓からホームに逃げる。
ジョーカー男は2号車(同9両目)に座ってナイフを持ったまま悠々と煙草を吸い、駆けつけた警察官に身柄を確保された。この事件で最初の男性を含め10~70代の17人が重軽傷を負った。
「死刑になりたかった。2人以上殺せば死刑になると思った」
殺人未遂容疑で逮捕された服部恭太容疑者(24)は、そう供述しているという。映画『ジョーカー』にひかれていたことも認めているが、その一方でこう供述していることも報じられた。
「小田急線の事件を参考にした」
連鎖する列車内での凶行
東京オリンピックが開催中だった8月6日午後6時半ごろ、やはり新宿に向かって東京都内を走行していた小田急線の快速急行列車の車内で、男が刃物を振り回して乗客に襲いかかり、男女10人に重軽傷を負わせる事件が起きている。
男は10両編成の列車の後方車両から前方に向かって移動しながら刃渡り約20センチの牛刀で、まず20歳の女子大生の胸を刺し、そのまま逃げるところを背後から複数回斬りつけて重傷を負わせると、手当たり次第に乗客を襲った。
その後、男は車床にサラダ油をまいてライターで火をつけようとするが、うまくいかず、緊急停車した列車から逃走。午後10時過ぎ、東京都杉並区内のコンビニエンスストアで「ニュースであった事件は私がやりました」「逃げるのに疲れました」などと店員に名乗り出ると、駆けつけた警視庁の捜査員に身柄を確保され、そのまま殺人未遂容疑で逮捕された。男は現在、責任能力を調べるために鑑定留置中だ。
いわゆる通り魔事件でもよくあることだが、こうした事件は連鎖する。というより、鬱屈していたものが背中を押されたように模倣犯が出てくる。
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