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おしゃれ好き父を介護・看取った彼女の「心残り」 インクルーシブファッション挑戦までの道のり

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身長が約110cmの伊勢坊さんには、身長に合わせたカジュアルなセットアップを制作。ジャケットとパンツの生地には伸縮性のあるストレッチ素材を採用し、手足の可動域が限られる中でも着脱しやすくなっている。ジャケットの内側にはループを付け、着脱時に指を引っ掛けてジャケットが落ちないようにした。

それぞれの悩みを解決できる機能的な商品となっているが、こだわったのは機能だけではない。すべての商品で”デザイン性”も追求したと坂野さんは話す。

「ファッションって、ダサかったら嫌じゃないですか。実際3人とも『どんなに便利でも、自分が好きじゃなかったら着ない』と言っていて。だからこそ、本当に着たい!ファッションって楽しい!って思える商品づくりを意識しました」

アダストリアブランドとのコラボも見据える

パラスイマーの冨樫航太郎さん(写真左)や、パラ・パワーリフティングに挑戦中の桐生寛子さん(写真右)など、多くのゲストが試着会に参加した(筆者撮影)

2021年9月、完成した商品をクラウドファンディングプラットフォーム「GoodMorning」内で先行販売した。10月20日からは、アダストリア直営ウェブストア「.st(ドットエスティ)」で予約販売を開始している。
10月24日には、軟骨無形成症(低身長症)の人や車いす利用者、介護・福祉関係者などをゲストに招き、東京・渋谷のアダストリア本社で試着会を開催。ゲストからは、商品への率直な感想や意見が飛び交った。

ジャケットを試着した軟骨無形成症(低身長症)のパラスイマー・冨樫航太郎さんは、「ジャケットにループがあるのは便利。あとは柄物のデザインとかもあるといいですね」と笑顔を見せる。

脳性まひを患い、車いすや杖を使用しているグラフィックデザイナーのライラ・カセムさんは、「服は人と人との会話のきっかけになるじゃないですか。だからこそ妥協したくない」とデザインの重要性を説いた。

介護士として働く鈴木葉月さんは、「パジャマの袖が通しやすく、胸元が開きやすいのは、介護する側としてもありがたいです」と評価。「袖を留めるときボタンは少し不便なので、簡単に剥がせるテープとかにするのもいいのでは」と改善点もあげた。

これまで”0.001%”しか集まらなかった声が、坂野さんやアダストリアのスタッフたちに直接届けられた。そして、参加したすべての人が意見を交わしながらファッションを楽しんだ。

また今回のプロジェクトに対して、福祉や医療、芸術関係など幅広い業界から注目が集まっている。すでに他業界とコラボしたオンラインイベントも実施している。

坂野さんは、多方面から寄せられた意見を生かし、今後はラインナップの拡充やアダストリアブランドとのコラボなどを見据えているという。今年中には新しい企画に取り組む予定だ。

「新しい業界の方々との広いつながりができたのは、会社としても大きなことだと思っています。いろんな業界や人の意見を取り入れながらプロジェクトを広げていきたいです。アパレル以外でも商品展開したいし、やりたいことはたくさんありますね」(坂野さん)

本当の意味で、1人ひとりがファッションを楽しむために――。坂野さんの想いが、さまざまな人を包み込み始めている。

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