バブル期の鉄路の華「ジョイフルトレイン」の記憶

JR各社が競って導入、色とりどりのイベント車

いわゆるジョイフルトレインとはやや違うが、今も「あそぼーい!」として現役のJR九州「オランダ村特急」も特筆すべき列車だ。

品川駅で開かれたJR九州「オランダ村特急」のお披露目会(撮影:南正時)

1988年に当時長崎県西彼町(現・西海市)にあった「長崎オランダ村」へのアクセス列車として誕生したが、運行開始に先立ちPRのため上京。品川駅で当時の石井幸孝JR九州社長や幹部、JR東日本の幹部らが出席して車両お披露目式を開催した。近年のJR各社間の独立性からは考えられない協調開催だった。

定期列車だがジョイフルトレイン的な要素のある車両としては、1985年3月ダイヤ改正で大阪と北陸方面を結ぶ特急「雷鳥」に連結された和風の「お座敷電車」も挙げておきたい。サシ481形食堂車を改造した車両で、愛称は「だんらん」。車内はお座敷客車の標準的な造りながら、車端にはオープンカウンター方式の調理施設が設けられ、ここから客席に注文した飲食物が運ばれた。

また、「雷鳥」には七尾線に直通する「ゆぅトピア和倉」も臨時列車として連結されていた。これは「アルファコンチネンタルエクスプレス」や「アルカディア」と同種のデザインの展望室を備えたジョイフルトレインと言える車両だった。

日本鉄道史上最大のイベント列車?

最後に特別な存在として挙げたいのは1988年に来日した「オリエント・エクスプレス'88」だ。

富士山をバックに走る「オリエント・エクスプレス」(撮影:南正時)

ヨーロッパでは当時イベント列車的な運用で使われていた車両だが、すべて往年の本物であるところが日本と大きく違い歴史を感じるところだ。来日時は田町客車区に所属して「日本車籍」を有していたから、国内走行中はJR東日本所有の列車だった。国内を走った究極のイベント列車として、その偉業はいつまでも語り継がれるだろう。

日本の鉄道の大きな変動期、そしてバブル期に登場し、我が世の春を謳歌したジョイフルトレイン。いつしかこれらの列車もほとんどが消えたが、その系譜は各地の観光列車、さらにはJR各社が保有する、気軽に乗れないクルージング列車「ななつ星in九州」「TRAIN SUITE 四季島」「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」「カシオペアクルーズ」などの豪華列車に引き継がれたといえよう。

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