バブル期の鉄路の華「ジョイフルトレイン」の記憶 JR各社が競って導入、色とりどりのイベント車
■アイランドエクスプレス四国(JR四国)
JR四国には、1987年の発足に合わせて50系客車を改造したジョイフルトレイン「アイランドエクスプレス四国」が登場した。
車体の塗装は四国の「青い国」というイメージが定着しているところから、車体の窓から上を白、窓の下はライトブルーとして、明るいイメージを表現した。編成両端の開放型展望室が最大の売りで、別荘のベランダからの眺望を楽しむというコンセプトの設計がなされていたという。客室はリクライニング座席と大型ビデオプロジェクターを備え、当時最新のビデオディスクカラオケも設置していた。この列車も専用機関車があり、DE10形機関車2両に同色の塗装を施していた。老朽化に伴い1999年5月の運転をもって引退・廃車となった。
■パノラマライナーサザンクロス(JR九州)
多目的に活用できる車両を目指して国鉄時代に開発され、1987年のJR九州発足時に営業開始した欧風客車である。それまでの国鉄のお座敷列車のイメージを大きく変えるJR九州の目玉として計画された。
編成は12系客車6両を改造、両端の展望部分が床面を高くしたハイデッキのサロンカー構造となっていたのが特徴。車体の燃えるような赤はJR九州のイメージカラーを表し、同色のDE10形ディーゼル機関車、ED76形電気機関車も用意した。
だがJR九州はその後、個人旅行者主体の観光列車(D&S列車)に力を入れるようになり、JR各社の中でいち早くジョイフルトレインに見切りをつけ、1990年代半ばに全廃。この列車も1994年3月に廃車となった。
リゾート列車のさきがけ
■フラノエクスプレス(JR北海道)
北海道は社員旅行などのいわゆる団体向けジョイフルトレインより、スキーツアー客向けなどの「リゾート列車」が目立った。その嚆矢として1985年に登場した「アルファコンチネンタルエクスプレス」に次ぎ、さらにグレードアップして1986年に登場したのが「フラノエクスプレス」だ。
北海道のジョイフルトレインは客車ではなく気動車をベースとした列車がほとんどで、「フラノエクスプレス」も特急用気動車キハ82系を苗穂工場で前面展望構造の3両編成に改造した。1987年にはラウンジ付きの増結車1両を加え4両編成になった。
この列車はハイデッカーによる展望のよさが最大の特徴で、北海道の車両として初の鉄道友の会「ブルーリボン賞」を受賞。全日空のツアー客向け列車「ビッグスニーカートレイン」としても運行された実績がある。北海道のジョイフルトレインを代表する列車の1つだったが、1998年に運行を終え、2004年に廃車となった。
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