ベールを脱いだ新生「本田技術研究所」の存在意義 研究開発は空飛ぶクルマや宇宙事業にも及ぶ

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組織の歴史や新領域の研究開発の取り組みを説明する本田技術研究所の大津啓司社長(記者撮影)

2020年4月の組織変更以後、新たな取り組みを一切明らかにしてこなかったホンダの研究開発子会社である本田技術研究所(埼玉県和光市)。

9月末に開かれたホンダの新領域事業の説明会で、本田技術研究所が「空飛ぶ車」やロケット事業など新領域の開発を行っていることを発表した。2輪や4輪といった既存事業で培ってきた技術を生かしつつ、ホンダジェットに続く新たな柱として将来的な事業化を目指す。

ホンダが開発する空飛ぶ車のイメージ(画像:ホンダ)

空飛ぶ車と呼ばれる「電動垂直離着陸機(eVTOL)」では、四輪の電動化技術を生かしてガスタービンとモーターを組み合わせたハイブリッド(HV)システムを開発・搭載。モーターで走りすべてバッテリーを動力とする一般のeVTOLに比べて航続距離や稼働時間を2倍以上に高める。将来的には、eVTOLを起点にしてホンダの4輪や2輪製品などを組み合わせて最適な交通手段を提供するMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の提供も視野に入れている。

宇宙事業では、すでに人工衛星を搭載する小型ロケットの開発を進めており、2020年代の打ち上げを目指している。ほかにも月面での探索活動の支援を目的に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、電気や酸素を生み出すエネルギーシステムの構築や探索用の遠隔操縦ロボットの実用化にも取り組む。

先進領域で新たな価値を生み出す

「本田技術研究所は先進領域に特化して、新たな価値を生み出せる体制にシフトしていきたい」。大津啓司社長は9月末の発表会でそう力を込めた。創業者である本田宗一郎氏の時代から業績を追う環境とは距離を置いた状況下で事業を行ってきた技術研究所は、構造改革のまっただ中にいる。

ホンダは八郷隆弘前社長時代の2020年4月、技術研究所の4輪開発機能の大部分をホンダ本体へ移管・集約した。新型車の開発や購買、生産、営業を同じ組織で一体的に展開することで、経営効率を大きく高めることが狙いだ。

背景には4輪事業の収益悪化がある。ホンダの4輪事業は過去の拡大路線が影響し、営業利益率が1.0%(2021年3月期)と低迷している。ホンダと技術研究所が別組織であるため、4輪開発においても設計や開発と生産の部門間ですり合わせに時間がかかるなど、開発効率の低下につながっていた。「聖域」ともされてきた技術研究所の再編は大きな決断といえる。

大幅な組織再編の結果、技術研究所に残されたのが、自動運転やロボティクスなどの研究開発と新たなモビリティサービスの開発を担う「先進技術研究所」、燃料電池システムといった次世代エネルギー分野の研究開発を担う「先進パワーユニット・エネルギー研究所」だった。今回、発表した空飛ぶ車やロケット事業もほとんど技術研究所が担う。

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