財政破綻したギリシャと日本を比較してみる--目先のリスクは小さいが財政再建は不可避
6月17日、菅直人首相が自民党の10%という数字を参考にした消費税率引き上げの検討を始めるとの宣言をし、大きな話題となっている。
政府が発表した、初の財政再建戦略
筆者は東京工業大学の後輩であることもあり、古くから菅首相を見てきている。菅氏が副総理兼財務相をしていた時代は、ちょうど、2009年10月~10年4月のギリシャ財政破綻がクローズアップされた時期に当たり、それを見て、財政への危機感を大きくしていたことを覚えている。
欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)といった国際機関からの圧力による財政再建がどれほど惨めなことかを理解し、「わが国が他国にはしの上げ下ろしまで指図されることがあってはならない」と発言していた。日本が自ら、財政再建に取り組むことの必要性を痛感した結果の発言ではないかと考えている。
6月22日、民主党政権としては初の財政再建戦略である「財政運営戦略」が閣議決定された。具体的には、基礎的財政収支の15年度までの赤字半減、20年度までの黒字化を掲げ、21年度以降に公的債務残高の対国内総生産(GDP)比の安定的な低下を目指す内容だ。
野田佳彦財務相はさらに、「財政運営戦略」と「中期財政フレーム」と整合的な予算編成を行うと述べた。11年度予算ではさっそく新規国債発行額を約44兆円以下とし、初年度からの財政運営戦略の徹底を強く印象づけた格好だ。この「財政運営戦略」と「中期財政フレーム」が財政再建の最後のカードになる可能性は高い。
破綻したギリシャと日本を比較してみる
いずれにせよ、10年度予算の新規国債発行額が過去最高の44兆3030億円となっている事実は変わらず、日本の財政状況は、当初予算段階から借金が税収を上回る戦後初の非常事態にまでなっているのだが、はたしてギリシャのようにはならないのだろうか。