「繊細さん」も心がスーッと軽くなる僧侶の思考法 「気がつきすぎて疲れる人」を救う古代の知恵
カウンセリングには、「いまの会社が自分に合っていないのはわかる。でも、自分が何をやりたいのかがわからない」という方が多くいらっしゃいます。
このとき、自分のやってきた仕事のなかで「ここが嫌だった」という点ばかりを見ても、自分に合う仕事を見つけることができません。
カウンセリングでは「これまでの仕事で、つい集中してしまう業務は何ですか」「漠然とでもいいので、この仕事ができたらいいなと思うものはありますか」といった質問をして、相談者さんと一緒に、情熱の湧く対象を見つけていきます。
繊細さんからは、「自分の感性を生かして仕事したい」という言葉をよく聞きます。この場合も、過去の経験にヒントがあります。これまでの業務だけではなく、学生時代のアルバイトやプライベートも含めて、やりがいを得られたことや、集中していたこと、つい考えてしまうことなどを思い出していただくんです。充実した経験のなかに、その人ならではの感性が働いているものです。質問を通して、自分ならではの感性に気づいていただくようにしています。
自分の本当の気持ちを確認する
『モンク思考』には、見つける、止まる、切り替えるといった言葉が何度も出てきますが、これは、まさに「繊細さん」に必要な感覚です。
繊細さんは、周りの人のニーズを感じ取り、半自動的に動くことがよくあります。相手の状況にもよく気づくので、「そろそろお茶を飲みたいんじゃないかな」「忙しそうだから、やっておいてあげよう」と先回りして動き、それらが積み重なって、自分ばかりが忙しい状態に陥ってしまうのです。
ですから、気づいたことに半自動的に応答するのではなく、一度立ち止まって、自分はそれをやりたいのか、やる余裕があるのかを考えるとよいでしょう。
たとえば、同僚の仕事が大変そうだと気づいたとき、「手伝おうか」と声をかける前に一呼吸おいて、「本当に手伝いたいのか、手伝えるだけの余裕があるか」を考えるのです。
『モンク思考』には、押し流されるのではなく、「見つける」「止まる」「切り替える」という行為によって、それが自分の価値観なのかどうかを具体的にチェックするエクササイズも紹介されています。
これらは、私がみなさんにお伝えしていることとよく似ています。古代からの僧侶の教えも、現代のカウンセリングやキャリアコンサルティングも、使っている言葉は違えど、根底は同じことを伝えているのかもしれませんね。
拙著『繊細さんが「自分のまま」で生きる本』(清流出版・2019)に詳しく書いていますが、繊細さんは、周りのニーズをくみ取りやすいだけに、会社でも頑張り続けて体調を崩してしまうことがあります。
そういうときは、まずは「休む」ことが必要です。これは『モンク思考』でいう、現状を「手放す」にあたります。
休むことへの焦りや罪悪感が出ることもあるのですが、自分に合う仕事にたどりつくためにも、しっかり休むことが大切です。自分のペースで好きなように過ごしながら、何がうれしくて、何が悲しいのか、自分の感覚を思い出していく必要があるのです。
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