「悪質クレームをしてしまった人」が語った本音 千人調査で回答者の約半数が「やった経験あり」
性別による傾向は、受けた被害の内容にも一定程度あるという。桐生教授がUAゼンセンの同種調査(2017年実施)を分析したところ、男性労働者の方が暴力や土下座強要などの被害にあうケースが多く、女性労働者はセクハラ被害などにあうケースが多く見られたという。
カスハラに法規制は果たして必要か?
では、カスハラにどう対処すべきなのか。桐生教授は法律が必要だと考えている。カスハラにより労働者は精神疾患になるほどのストレスを受けることもある。しかし、カスハラそのものを取り締まる法律はない。店員を殴れば暴行や傷害など、既存の法律で対処できることもあるがそうでないことのほうが多い。
「カスハラ規制法のようなもので、問題となる行為を明文化して罰するとともに、企業にも労働者のメンタルヘルスケアを義務付けさせるのが理想です。
すぐの立法が難しいのなら、ストーカー規制法を拡張することができないかと思っています。カスハラは繰り返す人が一定数いる。日本のストーカー規制法は欧米と違って、恋愛関係に限定してつきまといを禁止している。この制限をなくせば、一発アウトは無理でも一定数のカスハラを減らせるのではないでしょうか」
実際にカスハラにはストーカーと類似する心理があるという。たとえば加害者になることが年配者だと、孤独感などから話し相手を欲する傾向が強く、カスハラを繰り返す要因になりうる。また、加齢により自分の間違いを認めづらく、感情のコントロールが難しい傾向があることも指摘されている。細かいことに粘着できるだけの時間やお金の余裕も必要だ。
ただ、カスハラ対策に何よりも大切なのは企業側の対応だという。
「とにかく企業文化を変えないといけないでしょうね。実際に企業の人たちと話すと法律がほしいと言われるんです。表立って言うとリスクがあるから黙っているだけで。抜け駆けする企業がなければ、カスハラ対策自体ではまとまれる。早く様子見のような同調行動を終わらせないといけません。問題行動のある人に対してまで『お客様第一』という姿勢は、いずれなくなっていくでしょうね」
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