「このままでは国家財政破綻」論は1%だけ間違いだ

矢野財務次官と筆者との「決定的な違い」とは?

岸田首相は「単なるバラマキとは違う」と言うが、本当に国家財政は大丈夫なのだろうか(写真:つのだよしお/アフロ)

財務省の現役事務次官である矢野康治氏が、「このままでは国家財政は破綻する」という論文を月刊誌『文藝春秋』の11月号に寄稿し、永田町は上へ下への大騒ぎとなっている。

矢野氏の論文は99%正しいが、違う点とは?

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ネット論壇は、ここぞとばかりに財務省の財政至上主義を批判している。

一方、日本の財政状況を懸念する人々からは、財政の危機的状況を危惧した当然の主張であると受け止められている。経済同友会の桜田謙悟代表幹事などは「書いてあることは事実だ。100%賛成する」と記者会見で述べている。

矢野氏の論文は、主張というよりは事実であり、そのとおりだと思うが、実は99%しか正しくない。

では「間違っている1%」とは何か。「このままでは破綻する」のではなく、日本財政は「必ず破綻する」のである。

説明しよう。その理由は少なくとも7つある。

第1に、日本政府は戦後、財政が悪化する中で一度も借金を減らしたことがない。1980年代後半のバブル経済期においてすら、借金は増え続けたのである。もちろん小泉純一郎政権時も、2013年以降の「アベノミクス期」にも借金は増え続けた。

第2に、現在の低金利時においてすら、赤字が急激に膨らみ続けているのである。金利が上昇したら、借金の増加スピードは増すだろう。

景気がよくても、低金利でも借金は増え続けてきたのである。

第3に、今後、借金返済の条件は悪くなる一方である。人口は減り続け、高齢化は進み、さらに勤労者世代は減り続ける。高齢者がどんなに働いても、働き盛りの時よりも稼ぐ力が増える人は少数派だ。日本の1人当たり所得、あるいは所得稼得者の1人当たり所得は増えるとしても、日本全体で所得が増えるのは当面、おそらく100年は難しい。もし出生率が上がっても、若年層が増えるほどの上昇にはどんな社会の変化があってもすぐには無理である。だから、政府収入が増えるのは難しい。

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