女性部下の態度がいきなり「豹変」した上司の悩み 入社時から面倒を見てきたのになぜ?

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「ねたみ」や「嫉妬」とは、「他人をうらやましく思い、その分だけ憎らしいと思う感情」のことです。Rは最初、仕事ができて優しいYさんに憧れ、羨望のまなざしで見ていました。それが新入社員の出現によって、Yさんの自分への評価が下がったように思え、急にYさんのことが憎らしくなり、いつしかYさんを恨むようになったのです。Yさんを取り巻く女性である美人の新入社員のことも、彼の奥さんのことも恨みの対象になっていったのでしょう。

自己愛型の人は、ねたみや恨みの感情のほかにも、ナルシシズムの傾向が強いためつねに自分が優位に立ち、賞賛されていたいと望んでいます。Rは新入社員の頃は、周りの男性社員にちやほやされていたため、彼女の自己愛は満たされていました。しかし、新入社員が入ると、自分はみんなの賞賛の対象ではなくなってしまった。

このことは、Rにとっては許しがたい侮辱でした。侮辱を受けたと感じたRは、周囲の人たちを憎み、非難し、ねたみや僻(ひが)みの感情からYさんに意地悪をしたのでしょう。

感情がジェットコースターのように変化する人たち

Rのように、最初は相手のことを尊敬や崇拝していたのに、状況が変わった途端に相手を憎むようになるというのは、感情の起伏が激しい証拠です。さらにストーカー行為まで行ってしまうあたり、かなり激しいタイプの自己愛型だと言えます。

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たとえば、相手に少しでも優しくされると、自分の中で勝手に恋愛感情が盛り上がっていきます。「この人はなんて素敵な人なの」「こんなに優しくしてくれるってことは、もしかしたら私のことが好きなのかもしれない」と独りよがりになって、喜びの感情が急上昇します。

しかし何かのきっかけで、自分は相手に冷たくされている、嫌われていると感じると、一瞬のうちに感情がジェットコースターみたいに急降下するのです。「あの人は最低の人間だ」「絶対に許せない」「大っ嫌い」となって、徹底的に恨む。ネガティブな感情が増幅されていき、やがて相手を尾行して家を突き止めたり、私生活を暴こうとしたり、相手に向かってひどい言動を行ったりします。

こういう人に遭遇してしまったら、相手を正したり、諭そうと思ってはいけません。こちらが親切のつもりで取った行動でも、自己愛型の人にとっては自分への攻撃だと捉えてしまうのです。ですから、こういう人に対しては、距離を取るしかありません。

見波 利幸 日本メンタルヘルス講師認定協会理事

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みなみとしゆき / Toshiyuki Minami

1961年生まれ。大学卒業後、外資系コンピューターメーカーなどを経て、1998年に野村総合研究所に入社。主席研究員としてメンタルヘルスの研究調査、研修開発に携わり、日本のメンタルヘルス研修の草分けとして活躍。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事に就任。研修、講演、カウンセリング、職場復帰支援、危機対応、メンタルヘルス講師の育成などを精力的に行っている。著書に『心が折れる職場』『上司が壊す職場』(以上、日経プレミアシリーズ)など多数。

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