「エンタメ」は、ローカル鉄道を救えるか 静岡・大井川鉄道の『トーマス列車』が超人気

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2014年の夏。同じようにエンターテイメント作品の人気にあやかって利用客を集めているのが、三陸鉄道(岩手県・宮古~久慈間、盛~釜石間、計107.6キロメートル)だ。NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年4~9月放送)のブームを受けてのことである。

実際に「あまちゃん」ロケに使われた車両にはこんな掲示も

同社は2011年の東日本大震災により甚大な被害を受けたが、望月正彦社長以下、一丸となっての復旧への取り組みが多くのマスコミにも取り上げられた。地元自治体の支援もあって、この4月に全線で運転を再開した。6月に取材する機会を得たが、梅雨時のオフシーズンにもかかわらず大盛況で、日中の各列車とも、立ち客が多く出ていた。

けれども、こちらも間もなく放送終了より1年となる。夏の終わりとともにどうなるのか。「じぇじぇじぇ」が流行語大賞まで獲得した「あまちゃんブーム」に乗ってやってきた観光客を、「あまちゃんファン」から「三陸ファン」に上手に変えないと、やはり首都圏から気軽に行ける立地ではないだけに、三陸地方と三陸鉄道の将来は明るいとは言えない。

ブームが終われば、潮が引くように人はいなくなる。出雲においても、観光客の減少は始まっている。エンターテイメントに振り回されることなく、正念場はこれからと認識していれば、ブームのうま味が忘れられず、人が去ってから「こんなはずではない」と現実を疑うようなこともなかろう。

大井川鉄道のカンフル剤「トーマス」と、その限界

一方、この夏の鉄道界の大きな話題である、大井川鉄道(静岡県・金谷~千頭間・他、計65.0キロメートル)の「トーマス」は、7月12日より10月12日まで土・日曜、祝日を中心に50日間、新金谷~千頭間で1日1往復運転される。3年間のライセンス契約が結ばれており、2016年度まで運転が継続されると見られる。

「トーマス」は大きな反響を呼び、ビジネスとしては成功の部類に。ただ、全体の経営を大きく浮上させるのは難しい 写真提供:大井川鐵道 (c) 2014 Gullane (Thomas) Limited

「トーマス」は同社保有のC11形を改装したもので、前面に「顔」を取り付け、色を青基調に塗り替えている。もちろん法令を遵守して許認可を受け、走行には支障なきようされている。客車は色をオレンジ色に塗り替えて、7両が用意された。フル編成を組むと、約560人が乗ることができる。

この計画が公表されたのは2013年11月のことであった。当初はさほどの反響はなく、運転開始6ヵ月前の2014年1月に予約が開始されても動きはまだ鈍かったそう。だが、実際に機関車が完成し試運転が始まると、報道によって一気に知れ渡り、560席×50日×2本=5万6,000席が瞬く間に予約で埋まってしまった。

新金谷~千頭間の運賃+SL急行料金は大人2,520円、小人1,260円。仮に予約客の半数が子供だとすると、1億0584万円の運賃・料金収入となる。2013年度の本線(金谷~千頭間)の鉄道事業収入が6億円あまりであったことを考えれば、「トーマス」効果は絶大なようにも思える。

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