そろり再開? 動き出す企業買収ファンド

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増える中小企業案件 銀行も融資に積極姿勢

「10年度に入り、ファンドの投資先が売りに出されたり、オーナー系企業の非公開化など、ディールフローは確実に増えている」。企業買収向けローンを手掛ける、三菱東京UFJ銀行M&Aファイナンス室の浅田浩司室長はこう指摘する。

企業買収ファンドが日本で活動を始めたのは、1990年代末のこと。アドバンテッジやユニゾン・キャピタルなど、「御三家」と呼ばれるファンドが活動をスタートさせた。06~07年には、銀行側の積極的な融資姿勢もあって、ファンドの絡む企業買収が活況を呈した。

しかし、08年のリーマンショックからは銀行からの借り入れが難しくなり、企業買収の動きは頓挫する。09年後半以降、金融市場が落ち着きを見せ始めたのと軌を一にするかのように、ファンドの投資活動もようやく活発化してきた。

企業買収に絡む融資は、通常の企業向け融資と比べリスクもあるが、金利を高くとれる。そのためメガバンクを中心に「リターンもリーズナブルで、この分野はゴー」(浅田室長)。自己資本比率規制への対応で資本を積み上げた銀行が、厚くなった資本の分、収益を稼がなければならなくなり、利ザヤの厚い企業買収関連融資を積極化していることも、こうした動きを後押しする。

最近の特徴の一つは、企業価値が200億~500億円規模の中堅・中小企業の案件が中心であることだ。09年にはテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を運営する「ユー・エス・ジェイ」(買収総額約1500億円)、コールセンター大手「ベルシステム24」(同約1200億円)などの大型案件があったものの、1000億円規模の案件は日本では年に1件あるかないか。このため大手ファンドも、投資先となる企業規模の範囲を広げ、日本市場に合った現実的な案件組成を狙っている模様だ。

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