そろり再開? 動き出す企業買収ファンド

買収スキームを見ると、企業の生み出すキャッシュフローに対する買収価格(倍率)やレバレッジ(企業のキャッシュフローやエクイティに対する負債の比率)が低下し、ローンの出し手である銀行からすれば、より手堅い案件が主流になっている。

06~07年に組成された案件の中には、レバレッジを利かせた案件が続出。結果、外食大手のすかいらーくやレックス・ホールディングスなど、借入金過多が原因となり、買収後の戦略再構築を迫られる企業が相次いだ。「過大なレバレッジが凶器になってはいけない」(大手ファンド幹部)という反省があるからだ。

投資テーマも拡大 企業価値向上に苦労も

背景事情もさまざまだ。カーライルが09年12月に投資した居酒屋チェーン「チムニー」がその一例。和泉学社長は「少子高齢化や若者の酒離れに加え、当社と親会社のコアビジネスが違う点が隔靴掻痒(かっかそうよう)だった」と、MBOによる非上場化に踏み切った理由を打ち明ける。同社はジャスコ(現イオン)や米久など親会社が転々とした会社だが、親会社の経営判断の基準に齟齬(そご)を感じるようになっていたという。

また、ファンドの力を利用し、事業再生を狙うケースもある。日産自動車は09年12月、大阪の販売会社2社(大阪日産自動車と日産プリンス大阪販売)の統合に踏み切った。島根県や京都府など、これまでも日産系販社の再編はあったが、今回は独立系の投資ファンド、日本みらいキャピタル(安嶋明社長)との共同出資にした点が新しい。

具体的には、2社を新設する持ち株会社「大阪カーライフグループ」の傘下に置き、「販社2社を合併して、府内に三つある商圏ごとにきめ細かな販売戦略を立てていく」(日産自動車の佐藤明・執行役員)。大阪をモデルケースに、他の都市圏の販社再編も考えられる。国内市場縮小で地場の自動車販社の不振に悩む地銀なども注目している案件だ。

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