「年下妻のいる夫」は年金を大幅加算できる「裏技」 夫の年金が500万円以上上乗せになるケースも

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加給年金は65歳からが支給対象ですが、武夫さんの場合、65歳では加給年金の記載はなく、70歳で加給年金が上乗せされています。これは、もう1つの支給要件である「厚生年金加入期間20年以上」を武夫さんが65歳時点で満たしていないためです。武夫さんが会社員になったのは48歳のときですから、65歳時点で厚生年金加入期間は17年です。3年足りないので、65歳からは支給されません。

65歳で仕事を辞めてしまうと加給年金は一切支給されないのです。玲子さんは「やっぱり70歳まで働かないといけないですよね。年金事務所では『仕事を辞めないと加給年金は支給されない』とも言われました」と不安そうな表情です。

しかし、加給年金をもらう目的であれば70歳退職にこだわる必要はありません。武夫さんは48歳で厚生年金に加入したので、68歳で加入期間が20年なります。68歳で仕事を辞めても加給年金は支給されます。武夫さんが68歳のとき、15歳下の玲子さんは53歳です。玲子さんが65歳になるまでに支給される加給年金の合計は39万円×(65歳−53歳)=468万円になります。

なお武夫さんは会社員になるのがやや遅かったので468万円ですが、普通に会社員となり年金を納めていたら、15歳年下の妻の場合は585万円(=39万円×15)上乗せになります。

「20年加入」達成しても、働き続けると受給できない

年の差夫婦というだけで468万円も年金が増えることがわかり、表情がぱっと明るくなった玲子さんですが、こんな疑問も浮かんできました。

「68歳で退職をしたら、ということですから、70歳まで働くと68歳からは加給年金を受け取れないということですか?」

現行の制度ではそういうことになります。厚生年金に加入すると老後の厚生年金も増えることになりますが、現在は、年金を受け取りながら働いても、増えた年金はすぐに受け取れない仕組みになっています。これは、年金情報の更新が退職したときや70歳になったときに行われるためです。

武夫さんの場合、働きながら65歳から年金を受け取り、68歳時点で厚生年金20年加入を達成したとしても、その情報が更新されるのは退職したときあるいは70歳のときです。よって、仕事を辞めないと68歳からは加給年金を受け取ることができません。

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