「年下妻のいる夫」は年金を大幅加算できる「裏技」 夫の年金が500万円以上上乗せになるケースも

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武夫さんの厚生年金が月2万円しかないのには、理由があります。武夫さんが会社員になったのは48歳のときでした。厚生年金の加入期間が短く、しかもけっして高いとはいえない年収だったため、厚生年金が少ないのです。

年金事務所からは「60代前半と60代後半では年金カットとなる基準額が違いますから、65歳からなら支給されます」と説明を受けました。しかし、がっかりした気持ちは消えず、一方で仕方ないと思う気持ちもあり、武夫さんは割り切れなかったようです。そこにきてコロナの長期化で武夫さんは仕事に対するやる気を失い、玲子さんは、いよいよ本気で夫婦の老後について考え始めたようです。

「15歳下の妻」のおかげで大幅に加算される年金

玲子さんと武夫さんは年金事務所に行った際に、「65歳からの年金額」と「70歳からの年金額」を教えてもらいました。武夫さんは元気なうちはずっと働きたいと考えているものの、70歳を節目と考えていますし、玲子さんは年金を65歳より後に受け取ると受給額が増える「繰り下げ制度」を知っていたからです。

年金は1カ月受け取り時期を遅らせると、受給額が0.7%増えますから、70歳まで受け取りを遅らせると42%増額されることになります。しかし、70歳まで繰り下げたとしても、そもそも武夫さんの年金額が小さいので、金額的に大きなインパクトはありません。とはいえ、65歳からの年金額で生活していくのは厳しそうですから、できるだけ繰り下げを考えたいところです。

65歳の年金と70歳の年金を見比べて、玲子さんは「70歳からだと加給年金があるのですよね」と言います。加給年金とは厚生年金の家族手当で、厚生年金加入歴のある人が65歳になったとき、年下の配偶者や18歳までの子がいると厚生年金に上乗せして支給される年金です。

武夫さんの場合、15歳年下の玲子さんがいます。支給期間は玲子さんが65歳になるまで。加給年金の金額は39万円ですから、玲子さんが65歳になるまで毎年39万円が上乗せされ続けることになります。年金額の少ない武夫さんにとっては、非常にありがたい金額です。

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