70代でスタートアップに再入社した80歳の生き方 80歳・現役エンジニアが生涯夢中を貫けるワケ
人生100年時代、“定年消滅”が囁かれる中、生涯現役で働き続けるエンジニアは今後ますます増えていくだろう。だが、「ずっと働き続ける未来」を肯定的に捉えられる人は少ないかもしれない。環境や立場、ライフステージが変わっていく中で、仕事に夢中で向かい続ける自信が持てない人も多いはずだ。
しかし、法人向けにクラウド型『Akerun入退室管理システム』を提供するスタートアップPhotosynth(フォトシンス)で働く 「80代現役エンジニア」の深谷ヒロカズさんのキャリアが、私たちの人生100年時代への不安を軽やかに吹き飛ばしてくれる。
約60年エンジニアとして働き続けてきた深谷さんは、今なお「仕事が大好きでたまらない」というのだ。過去を振り返っても、「仕事が嫌いになったこと」や「仕事に冷めたことはない」と話す。なぜ深谷さんは生涯夢中を貫けるのか、その秘訣を聞いた。
70代で若者だらけの会社にジョイン
とにかく技術が好きで、ずっと技術畑にいますね。
大学卒業後は大手通信機メーカーに就職。テレビ関連の技術部門に配属され5年ほど勤務したのち、半導体分野への関心が深まったことを機に転職し、アナログIC(集積回路)の設計を約17年間担当しました。1ドル360円の時代のアメリカ駐在も経験し、カルチャーショックもたくさん受けました。
その後、ICの応用部門へ異動。最後の10年間は中国の合弁会社の技術者育成や市場開拓などの実務に携わり、中国国内の主要電機電子メーカーや理工科系の大学、中小企業に幅広く拡販活動を展開しましたね。おそらく私ほど濃く中国電子部品市場開拓の経験をしたエンジニアはいないのではないかと思います。