孫泰蔵が「事業計画は起業の害」と考える深い訳 ビジネスにおけるクリエイティビティの重要性

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「遊ぶことは正義」という言葉の真意とは……?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
ビジネスでは事業計画が求められる。いつまでに製品やサービスを開発し、ローンチするのか。その計画をもとに、資金繰りや組織の拡充などが図られるわけだが、こと起業においては、最初からこの事業計画を意識しすぎることで、かえって失敗するケースがある。そのことは、起業を音楽の創作活動にたとえて考えてみればよくわかる。起業と音楽は、一見無関係に思えるが、実はどちらも人間の創造的な営みであり、参考になる共通点は多い。
世界的なトップミュージシャンの創造技法からビジネスのヒントを解き明かす話題の書籍『創造思考:起業とイノベーションを成功させる方法はミュージシャンに学べ』(東洋経済新報社)が先日刊行された。本書の推薦者でもあり、バンド経験もある連続起業家の孫泰蔵氏は「事業計画は起業の害になる」と考えている。その真意を聞いた。

起業初期の事業計画は邪魔

『創造思考』の中に「遊ぶことは正義」という節があります。音楽の創作活動において、いかに自由に遊ぶことが大事かということが書かれているのですが、これは本当に起業にもいえることです。起業も「楽しい創造的な取り組み」だから、目いっぱい遊んで楽しむべきなんです。でも起業家の中には、遊ぶこと、楽しむことに対して罪悪感を抱いたり不謹慎だと考える人もいるわけです。「そんなことやってる場合か」「まじめにやれ」と。

『創造思考:起業とイノベーションを成功させる方法はミュージシャンに学べ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

もちろん、成功させることも収益を出すことも大事ですが、そもそもやっていて楽しいと感じられないなら、起業する意味がないと僕は思います。「遊びじゃないんだ、ちゃんとやれ」みたいなことを言う人もいるけれど、遊ぶからこそ、楽しんでるからこそ良いものが生まれるのです。そんなことを言われたら、僕なら逆に、「仕事じゃないんだぞ。こちとら遊びなんだ。真剣にやれ」って、言いたいですね(笑)。

その意味では、あまり計画に囚われすぎないでほしいと思います。遊んで、脇道にそれて、そうした自由で楽しい活動こそが起業家のあるべき姿で、事業計画に縛られている場合じゃないんです。特にアーリーステージでは、事業計画は、邪魔でしかない。

事業の初期の段階ではほとんどの場合、プロダクトやサービスが、まだ本当に良いものになってないわけです。「プルーフ・オブ・コンセプト(PoC)」という言葉があるのですが、つまり、自分たちが最初に思い描いたアイデアや製品を、実際に作ってみて、本当に人が喜んでくれるものになるか、共感してくれるものになるかを検証して、実際に受け入れられるものを作っていくというプロセスが必要になります。まずこの作業を経て、本当に良いものを作らないことには、その先の成長も拡大もないわけです。

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