スバル「新型アウトバック」とレヴォーグの相違点 誕生した背景や歴史から2台の立ち位置を考察

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メーカー装着いプションの本革シート(ナッパレザー)を装着した新型アウトバックの内装。カラーはタン(オレンジステッチ)となる(写真:SUBARU)

ことにドイツでは、どのような車種でも(たとえ2人乗りのスマートなどでも)、速度無制限区間のあるアウトバーンを走行することを視野に開発される。したがって、超高速走行での性能や安全性も加味して製品化されるため、アメリカや日本ではもて余すほどの性能となる傾向がある。

日本とほぼ同等の交通環境であるアメリカで、アウトバックが人気を得たのは当然の結果といえる。そして最新のアウトバックも2019年にまずアメリカNYで公開されたのであった。

日本国内の道路状況にマッチした「レヴォーグ」の誕生

レヴォーグのスタイリング(写真:SUBARU)

アウトバックのもととなったレガシィは、アメリカでの好調な販売を受け、車体が大型化され、国内の道路事情には合いにくくなった。そこで、レガシィツーリングワゴンに代わるクルマとして「レヴォーグ」が誕生した。

レヴォーグの1.8L直噴ターボエンジン(写真:SUBARU)

レヴォーグは、かつてのレガシィツーリングワゴンの再来だ。そして、新型レヴォーグで、1.8Lの水平対向ガソリンターボエンジンが搭載され、アイサイトXも実用化され、十分に機能が作り込まれたうえで、アウトバックへつなげられたのである。

しかしアウトバックは、レヴォーグに比べ車体寸法が大きい。それでも、たとえば都内を中心に輸入車のSUV(スポーツ多目的車)やステーションワゴンを愛用する人を多く見かける。そういう人々にとって、オールロード・クワトロもV70XCのような輸入車はなく、アウトバックは関心を呼ぶかもしれない。つまり、輸入車と並べて興味を持つ消費者も存在するのではないか。

スバルにはほかに、「インプレッサ」をベースにした「XV」という、アウトバック風の車種がある。また、SUVとしては「フォレスター」がある。かつて7人乗りミニバンの「エクシーガ」に、「クロスオーバー7」というアウトバックやXV風の車種もあり、人気を呼んだ。

新型レガシィ アウトバックLimited EXのサイドビュー(写真:SUBARU)

スバルは、単にクルマの魅力だけでなく、クルマとある暮らしや余暇の記念撮影をする所有者が多いとされ、そうしたなかで、人生を楽しむ友としてのアウトバックが存在しえるのではないか。

かつてのアウトバック(グランドワゴン時代を含め)を愛用した消費者のなかには、レヴォーグのアウトバック版がほしいという声もあるかもしれない。国内での声が高まれば、そうした企画も検討されるか。そのためにも、新型アウトバックの動向は気になるところであり、スバルは、そういう優良顧客(ロイヤルカスタマー)を持つメーカーなのである。

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御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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