スバル「新型アウトバック」とレヴォーグの相違点 誕生した背景や歴史から2台の立ち位置を考察

✎ 1〜 ✎ 71 ✎ 72 ✎ 73 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
レガシィ グランドワゴンやレガシィ ランカスターを含めると3代目にあたるレガシィ アウトバック。3代目からは全世界共通でアウトバックという名称に変更された(写真:SUBARU)

ステーションワゴンという多用途性と4WDを組み合わせることで、リゾートエクスプレスと呼ぶ価値をスバルは創造したのである。当時のスキー人気と重なり、それまでスキー場へは4WDのRV(レクリエーショナル・ヴィークル=いすゞビッグホーンや三菱パジェロなど)が便利とされてきたが、都市からリゾート地への移動では高速道路を利用する機会が多く、ツーリングワゴンのようなステーションワゴンのほうが高速運転には適している。さらに4WDを装備することで、雪国に入っても安心して運転できる。

またツーリングワゴンは、ガソリンターボエンジンを搭載したので、高速移動での俊足ぶりもRVでは味わえない壮快さをもたらした。こうして、ツーリングワゴンがレオーネやレガシィの顔となり、逆に4ドアセダンの存在が薄くなったほどだ。

ツーリングワゴン人気を、さらに拡充するため生まれたのがアウトバックだ。ツーリングワゴンの性能はほぼそのままに、車高をやや高め、樹脂によるオーバーフェンダーを取り付けることによって、悪路走破性をより重視したツーリングワゴンを登場させたのである。樹脂製のオーバーフェンダーは、RV的な雰囲気ももたらし、屋外での活動を重視する消費者に喜ばれた。

北米市場で高い支持を受けるアウトバック

新型アウトバックのインテリア(写真:SUBARU)

その人気は、ことにアメリカで高まった。大陸のアメリカでは、横断するにしても縦断するにしても、季節を問わず気象が変化することがあり、たとえば年間を通じて快適な初夏の陽気であるロサンゼルスから東へ向かえば、シエラネバダ山脈があり、降雪の可能性がある。冬にロサンゼルスでは半そでで過ごしても、そこから1~2時間ドライブすればスキー場へ行けるといった具合だ。

そうなると、単に4WDのステーションワゴンというだけでなく、未舗装路や雪道で床下をこするなどの不安なく移動できるアウトバックの魅力が拡大する。

アウトバックの競合として、ヨーロッパには、アウディ「オールロード・クワトロ」やボルボ「V70XC」(現在のSUVのXCと異なるステーションワゴン的な車種)など、アウトバックと同様の商品性を持つ競合もあった。だが、それらは欧州車の常で、アウトバックより高額だった。ヨーロッパでは、4WDやターボエンジンなど、付加価値が加わるとそのぶん高値となる。もちろん、国産車もその傾向があるとはいえ、より身近な価格に抑える努力が払われる。それでいて性能に大きな差はない。

次ページ国内向けのレヴォーグと北米で人気を博すアウトバック
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事