フェアレディZ/GR86、新型スポーツカー徹底比較 発売間近、最旬FRスポーツ買うならどっち?

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新型フェアレディZのスタイリング(写真:日産自動車)

これら情報から考えると、GR86のほうがフェアレディZよりも車体価格が安いことは間違いないだろう。従来型でも86は267万1900円~348万7000円だったため、前述のフェアレディZ現行型より元々が安い。

だがGR86では、エアロやブレーキキット、サスペンションやマフラーなど、さまざまなオプションパーツが用意されており、車体価格が安いぶん、購入時にそれらを大量にオーダーするユーザーも多い。実際にGR86のティザーサイトには、さまざまなアフターパーツメーカーが手掛けた商品が紹介されている。トヨタ傘下のTRDをはじめ、HKS、クスコ、サード、トムス、トラスト、ブリッツなど有名メーカーのチューニングパーツが目白押しだ。いずれも性能アップが魅力の製品ばかりで、中には50万円を超える高額パーツもあるようだ。

GR86のリアビュー(写真:トヨタ自動車)

従って、例えば、ある程度装備を省くことで価格を抑えた最安グレードのRCを選んでも、それらオプションパーツを注文すれば、購入価格が400万円半ばになることもあるらしい。結局は、装備が充実したRZを注文するユーザーも多いようだ。トヨタでも2021年4月の新型GR86発表時に、86には「カスタマイズしてオンリーワンの86をお楽しみいただく」ユーザーが多いことを公式にコメントしている。オプションパーツの充実ぶりも、それらユーザーを踏まえたうえでの設定なのだろう。

電動化が進む現代、貴重なエンジンモデルの2台

つまり、GR86をより自分好みにしようとすると、価格的には新型フェアレディZに近くなってしまう可能性は高い。一般的には、排気量や車格などを鑑みるとフェアレディZのほうが上位機種だ。だが、実際の購入価格にあまり差がないのであれば、どちらにするか迷うスポーツカー愛好家もいるだろう。あくまで仮定だが、価格面でみると、両車はじつはライバル関係にあるとも考えられる。

いずれにしろ、フェアレディZとGR86は、どちらもスポーツカー愛好家にとっては期待が大きいモデルである点では同じだ。カーボンニュートラルに向けた「クルマの電動化」が進む中、内燃機関を搭載するスポーツモデルを手にできる機会はあとわずかかもしれない。両車の正式発表を待ち焦がれるユーザーは意外に多いだろう。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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