際立つ「40~50代未婚男性」幸福度の低さの背景

しあわせは「幸せ」ではなく「仕合わせ」である

一般的に、「恋愛=幸せ」の図式は女性にあてはまるものと考えられがちですが、既婚より未婚の幸福度が低い結果とあわせると(既婚者は少なくとも恋愛経験を経ている)、男性の幸せにおいて重要な因子は、むしろ年収より恋愛なのではないかという仮説も成り立ちます。

だからといって、「恋愛すれば幸福になれる」「結婚すれば幸福になれる」などという因果はありません。当然、恋愛経験なしの中には、そもそも「恋愛や結婚に興味がない」層も一定数います。恋愛をしていない人=不幸と断じるつもりもありません。しかし、マクロ的に見れば、多くの未婚男性の低い幸福度は、「恋愛を望んでいるにもかかわらずそれが実現できない」という環境にあるともいえるでしょう。

一方で、恋愛経験がなくても幸福度が高い群も存在します。『「オタクは結婚できない」という大いなる誤解』という記事で紹介したように、何かしらのオタク趣味をもつ未婚男性の幸福度は、「現在恋人がいる」未婚男性のそれに匹敵します。恋愛をしていなくてもオタク趣味がある未婚男性は十分幸せなのです。

幸せとはいったい?

そもそも、幸せとはなんでしょうか?

もともと、「幸」という文字は「手かせ」つまり「手錠」の象形であると言われています。手錠でつながれて不自由な状態がしあわせというのは一体どういう意味なのでしょう?

この解釈については、諸説ありますが、「手錠をはめられている状態から解放されると幸せだから」という説もあります。また、「幸」に「丸」と書くと「執」になります。「執」という漢字を使った熟語には、「執着」「固執」など、あまりいい意味は感じられません。

そもそも、この「丸」という漢字は、ひざまずいて両手を前に差し出す人の姿を現します。差し出した先が「幸」という手錠ですから、これはどう考えても、逃げられない不自由な状態にさせられた人間を表しているでしょう。どうやら「幸」という字は本来あまりいい意味ではないようです。

しかし、実は「幸せ」という表記になったのは江戸時代以降の最近の話で、もともとは「仕合わせ」と表記していました。中島みゆきさんの歌の「糸」で使われているのも、この「仕合わせ」という漢字です。

さらに語源をたどれば「仕合わせ」とは「為し合わす」でした。「為す」とは動詞「する」で、何か2つの動作などを「合わせる」こと、それが「しあわせ」だという意味です。つまりは、「誰かと何か行動をする」こと自体が「しあわせ」ということなのです。もともとは動詞であったことから、「しあわせ」とは状態ではなく「しあわせる」という行動そのものだったことがうかがえます。

結婚しているとか、いい会社に就職しているとか、さらにはお金を所有しているという状態にしあわせはありません。結婚にしても、就職にしても、そこで誰と何をするのかがしあわせなのであり、お金や時間に関して言えば、そのお金と時間を使って誰と何をするのかがしあわせなのだろうと思います。

いうまでもなく、その誰かとは異性に限らず、同性の友人であってもいいし、初対面の相手であってもいい。つまりは、しあわせとは「人のつながり」であり、「つながった人と何をするのか」が問われているのです。

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