鉄道大手、旅客回復の影で「通勤定期減」の衝撃 4〜6月期、出社減り「定期外」へのシフト鮮明に

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ただ、今期と前期の第1四半期を比較すると売上高の改善以上に営業収支が改善している会社が19社中16社もある。これらの会社は前年同期以上に大幅な経費削減が行われている。運行ダイヤの見直しに伴う経費削減といった効率化策であれば恒久的に実施可能かもしれないが、広告宣伝費の抑制、修繕費の先送りなどの経費削減策は長続きしない。

伸びたのは圧倒的に「定期外」

続いて、各社の旅客収入の増加要因を詳しく見ていく。鉄道輸送人員を定期と定期外に分けると、各社いずれも定期外が2桁の伸びを示している。

定期外輸送人員の伸びが最も大きかったのはJR東海で前年度同期比94.9%増。ほぼ2倍になったことになる。ほかにもJR東日本が86.2%増、東急が73.5%、小田急が71.5%増など。伸び率の小さい会社でも、南海電鉄が25.3%増、京阪HDが30.9%といった3割近い伸びを示している。

一方、定期輸送人員の伸びは、定期外に比べると小幅にとどまった。伸びが最も大きかったのは京王の17.1%、次いで東武の17.0%。さらに西日本鉄道の16.6%、小田急の16.5%などが続く。伸びが最も小さかったのは東京メトロで、マイナス5.7%。前年同期よりもさらに減ってしまった。その後はJR東日本の1.1%増、南海の5.1%、相鉄の5.6%、JR東海の5.8%が続く。

定期の輸送人員は定期外と比べると、なぜ伸びが弱いのだろうか。伸び率がマイナスとなった東京メトロに話を聞くと、「テレワーク等の進展により、定期のお客様のうちで定期外に切り替える動きが一部であったと推測される」という。確かに、定期の輸送人員を定期と通勤定期と通学定期に分けて調べるとよくわかる。

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