強気の月1100円、東武「オンラインサロン」の勝算 SL重連運転や“新型車両"で会員獲得なるか

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一方、オンライン向けの企画では、車両修繕作業の様子など、ファンクラブ限定の動画や画像を配信する予定だ。鉄道イベントや臨時列車の動画では「イベントに参加している気分を味わえる」ように演出し、オンラインツアーの開催や、東武社員と交流できる場も設ける考えだ。オンラインツアーはリアルの場合と同様、東武トップツアーズが手がけるという。

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とくにオンラインツアーや動画配信などの企画は、コロナ禍の長期化で大規模な集客ができない場合や、車両検修作業の現場などの大勢を入れるには不向きな狭い場所を公開するときに効果を発揮しそうだ。広報担当者も「我々には当たり前すぎる『駅員の1日』なども価値のあるコンテンツになるかもしれない」といい、会員のニーズが企画に反映されることもありそうだ。

担当者にはプレッシャーだが…

東武公式ファンクラブは「DMMオンラインサロン」上に開設した。2022年3月31日までを第1期として人数無制限で会員を募集する。開設からちょうど1週間経った9月8日10時時点での会員は125人で、小金井さんによると400人以上が目標。会費は自動更新だが「毎月毎月の更新なので、みんなが退会してしまえばゼロにもなる。数字をキープしていくのが大変だ」という。

東武公式ファンクラブ担当の小金井敦さん。「会員数キープはプレッシャー」と語る(記者撮影)

そのため、新たな会員を獲得しつつ、既存会員を飽きさせない努力が毎月毎月、必要になる。小金井さんは「イベントの予告をはじめ、随時いろんなコンテンツを投入することで会員数をキープしていかなくてはならないので、私にはプレッシャーだ」と語る。また「どこまで事前に公表するか広報などの部署ともせめぎあいになる」といい、社内の調整と連携も不可欠になる。

ファンが月額1100円を支払う価値があるだけのコンテンツを毎月投入し続けるのは、担当者にとってはなかなかのチャレンジではあるが、東武鉄道から発信される話題もこれまで以上に増えることが期待できる。

小金井さんは「東武鉄道は路線の距離が長いのと電車からSLまで車両の種類も多いこともあって、幅広い人に受け入れてもらえる素地がある。ファンクラブで配信する動画をきっかけに『沿線に行ってみたい』と思ってもらえれば」と語る。関係者の努力が実って成果を収めることになれば、新たなファンサービスを模索する全国の鉄道会社にとってよいヒントになるかもしれない。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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