日本にも影響「ドイツ総選挙」でこう変わる 16年間続いたメルケル政権がついに終幕へ

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――メルケル氏の引退がEUへ与える影響はどうですか。

EU統合はメルケル氏の時代以前からドイツとフランスが引っ張ってきた。メルケル時代になって世界金融危機、ユーロ危機、難民危機、コロナ危機という4つの危機があり、EUの通常の枠組みを超えた首脳レベルの意思決定が必要とされ、その中でメルケル氏は存在感を発揮してきた。今後の新たな問題を解決していくうえで、EUの調整役として老練で影響力のあるメルケル氏がいなくなるのは不安材料ではある。

ただ、グリーン化など政策の大きな方向性はEUの仕組みの中ですでに定まっており、何か制度上の大きな問題が生じることにはならないだろう。EUは今、米中対立の狭間で埋没しないよう戦略的自立を模索している。これまでとは違った発想を持つドイツ新政権の誕生が、銀行同盟の完成や財政統合と言ったユーロの安定に必要な改革の前進につながるなど、EUの戦略的自立によい結果をもたらすかもしれない。

中国傾斜からインド・太平洋重視へ

――ドイツ総選挙の日本にとっての意味合いは。

緑の党が新政権に入ればグリーン化が加速すると考える日本企業が多いと思うが、たとえ入らないとしても国として加速していく方向性は変わらない。スピードや手法の違いだということをまず念頭におくべきだ。

また、メルケル政権の中国傾斜の軌道修正は始まりつつあったが、選挙後はより明確になる可能性がある。メルケル時代には中国に比べて日本が軽視されていると感じる日本の企業や政策関係者が多かったが、今後のドイツはアジアにおいてインド・太平洋を重視することでバランスをとるようになり、日本との関係が近くなる可能性がある。ドイツ外交における日本の存在感が高まり、協力関係が強化されることになるだろう。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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