妖怪ウォッチを射止めた、西武の「アニメ力」 立て続けに人気作品とコラボレーション
そうした縁を生かし、駅の発車メロディーにはアニメソングを採用している。大泉学園駅では原作者・松本零士氏のゆかりの地であることから銀河鉄道999が、上井草駅はガンダム、椎名町駅は『怪物くん』のテーマ曲が流れる。
始まりは「レオ」だった
ただ、西武とアニメの深い関係は、沿線のアニメスタジオの存在だけによるものではない。西武自身も昔からアニメに対する理解が深かった。その端的な例が「レオ」だろう。
手塚治虫氏が沿線に住んでいたこともあり、1979年シーズンから『ジャングル大帝』のレオをプロ野球・埼玉西武ライオンズのマスコットキャラクターとして採用。現在も変わらず、使い続けている。1981年には妹「ライナ」が、手塚治虫氏の手によって誕生。球団のマスコットキャラクターとしてだけでなく、会社のシンボル的存在となっている。
今でも「レオカラー」と呼ばれる白地に青赤緑帯のバスや鉄道車両が、沿線を走っている。また、西武遊園地と西武球場を結ぶ山口線には「レオライナー」という愛称がある。アニメキャラクターを愛称にした路線の元祖ともいえるだろう。
西武グループはアニメを生かしながら、沿線価値の向上、地域貢献を図っている。2007年にアニメの業界団体である日本動画協会と、「アニメの活用による社会貢献活動」の協力体制を構築。沿線のアニメ会社で制作するキャラクターを使って、沿線自治体の環境に対する取り組みを紹介する環境マガジン「アニッコ」の無償配布などを行っている。
広義での市場規模は約1.3兆円に達し、海外輸出などで今後の発展が期待されるアニメ産業。その拠点の多くが集積する西武沿線のアドバンテージは大きい。長年にわたって培ってきた西武鉄道とアニメの良好な関係が「アニメの西武」という評判を作り出し、ひいては沿線価値の向上につながっているのは間違いない。
(撮影:尾形文繁)
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