タリバンが次々危害「執拗に狙われる人々」の素性 諜報機関職員らの「ブラックリスト」が明るみに 

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また、実際にこのリストに挙げられている対象人物の自宅に押しかけ、仮にこれらの人物の逃走を許してしまった場合は、家族を標的にして『シャリア(イスラム法)にのっとり』危害を加える可能性がある、と結論づけている。

報告書ではまた、欧米各国が空港での国外退避に力を入れている状況を利用して、タリバンが手薄になったカブール都市部での活動を活発化させ、捕虜とした人物への恐喝やモスクなど情報源に対する尋問を強める可能性が高いと指摘。最悪の場合は急速に増加している市内の情報提供者などを利用しながら、反タリバンとみなす人物やその家族を大量に逮捕して公開処刑するシナリオを想定している。 

この報告書をまとめた同センターのクリスチャン・ネルマン所長に取材を申し込むと、まず「タリバンの標的となっている人が相当数いるのは、火を見るより明らかです」としたうえで、次のように分析した。「とくに危険にさらされているのは、ブラックリストに掲載されている元軍や警察、捜査機関の中心的な立場にあったアフガニスタン人らです。タリバンは出頭を拒否する人物の家族をも標的として、“シャリア(イスラム法)にのっとり”処罰したりなどしています。彼らは、さらなる情報提供者を募って、新政権に向けての地盤を確固たるものにしようとしています」

また、タリバンが新たな情報提供者を水面下で市民から募っていることについては、「危害を加えず安全を保障する代わりに、内部情報提供者をリクルーティングして、“タリバン政権”への協力者を集めていっているとみられます」と話す。

入手した内部資料には「レター」も存在

また、同じく非公開を条件に提供された内部資料の中には、前政権でテロ対策に従事していたアフガニスタン人の男性幹部に対してタリバン軍事委員会への召喚を求めるレターも存在する。

パシュトー語で書かれたそのレターには、「あなたはアメリカ軍・イギリス軍と密接に協力してムジャヒディンを標的にしていました。あなたがイギリスに旅行していたという情報も入っています。これはあなたがアメリカ・イギリスと良好な関係を築いていたことを示しています。以上のことから、“アフガニスタン・イスラム首長国”の軍事委員会はあなたを重要人物とみなしています」と軍事委員会への出頭を命じる内容が記されていた。

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