事故物件サイト「大島てる」が明かす運営のウラ側 日本の不動産業界に与えた大きなインパクト
大島てる:おそらく、訴えてやろうという人はいると思うんです。でも、「大島てるは、けしからん」だけでは裁判にできません。ちゃんと損害があったことを証明しないといけないので、弁護士に相談したけど、裁判をあきらめたケースが多いのではないかと予想しています。
ようやく一歩目を踏み出した事故物件の告知基準
小野:事故物件については特に決まった定義はありませんでしたが、今年5月に不動産業を所管する国土交通省が初めてガイドライン案をまとめました。賃貸物件では、殺人、自殺、事故死については3年間の告知が必要。自然死、病死などは遺体の腐敗がない限りは告知する必要がないとしました。
夏原:3年は短いとか、告知期間中は家賃を何割くらい減額するかもよくわからないとか、いろいろ意見が出ています。でも、ようやく一歩目を踏み出したということは評価したい。本当は宅建業法に加えないと守らない業者はたくさんいると思う(笑)。でも、まずは案を基に議論を進めていけますよね。
小野:「大島てる」に変化はありますか?
大島てる:結論だけを言えば、ガイドライン案は「大島てる」には関係ありません(笑)。
夏原:また、そういう言い方すると炎上するから駄目でしょう(笑)。ちゃんと説明してください。
大島てる:すでに「4年前の情報は消せ」といった反応が寄せられていて、いろいろと間違っているので説明します。まず今回の発表は「案」にすぎません。いろいろな意見を踏まえて、これから正式にガイドラインが作られるので、3年の告知義務がさらに長くなる可能性だってあります。しかも、3年超が経ったものは、告知してはいけないというものでもありません。
夏原:知りたい人には可能な限りの情報提供するのは、宅建業者なら当たり前です。鬼の首をとったようにガイドラインを振りかざして、3年過ぎたら積極的に隠蔽するのなら、不動産業への信頼を低下させるだけでしょう。少なくとも正しい情報の告知まで禁止するものではないから、「大島てる」に載せるのに問題はないと思う。
大島てる:実は「大島てる」には、不動産業界だけでなく自殺者遺族からの反発もたくさんあります。そして、遺族団体の一つが、今回の案に非常に強い反対意見を表明しています。それは、そもそも心理的瑕疵など存在しないから、3年どころか1日だって告知は必要ないと主張しているんですね。
夏原:それは極端すぎる意見です。告知義務がなくなれば減額家賃の補償も要らなくなるから、遺族にとっては都合が良いのかもしれないけど、一般の感覚からはかけ離れていますよ。