事故物件サイト「大島てる」が明かす運営のウラ側 日本の不動産業界に与えた大きなインパクト

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大島てる:ガイドライン案の3年という告知期間は遺族側の立場に近いと感じています。放っておくと、極端な主張に引っ張られてしまいかねないので、私も反論を続けますし、一般の方も声を上げるべきだと思います。

小野悠史(おの・ゆうじ)/不動産・住宅を中心に幅広く取材、記事を執筆。不動産テックから地面師まで、不動産のニュースはなんでも取材する。「週刊東洋経済」「AERA」「FACTA」等を中心に寄稿。『正直不動産』では、連載初期からの取材協力者でもある

小野:自殺遺族のなかには、お祓いだって必要ないから、祈禱料を請求されても払わないという人もいるそうです。

大島てる:科学的には幽霊なんて絶対にいないのだから、気にする側が悪いという論理ですね。

夏原:私はオカルトを否定しています。でも、気になる人、嫌だと言っている人の意見をふさぐために科学を使うのはおかしい。心霊現象は実際にはありえないけど、気味が悪いという感情は本物でしょう。

大島てる:私も心霊現象を体験したわけではありません。ただ、「大島てる」はオカルト好きから支持されているので、良好な関係でいたいと思います。

不動産業界と「大島てる」の関係に変化が起きる?

小野:不動産業界のなかでも、業種や年代によって「大島てる」への反応は違うように思います。

夏原:中古住宅を買い取って販売している再販業者にとっては、「大島てる」はなくてはならないサイトになっていますよね?

大島てる:そうですね。ある投資用アパート販売会社は、「大島てる」のデータを使って事故物件ばかりを買っていたそうです。買った古い物件は取り壊してしまい、そこに新しいアパートを建てて投資家に売るというやり方で儲けていたみたいですね。

『正直不動産(12)』(小学館)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします ©大谷アキラ・夏原武・水野光博 / 小学館「ビッグコミックス」連載中

夏原:情報があることによって助かっている不動産業者もいるんですよね。事故物件を建て直すなら、近所の人も喜ぶでしょう。

大島てる:ちなみに、その販売会社は、銀行から不正に融資を引き出していたと新聞報道されて以来、音沙汰はありません。

夏原:結局、そういうオチになるのか(笑)。でも、不動産業界側も「大島てる」を便利に使おうという意識の人も増えてきているのは間違いない。大島さんにとっては、援軍と言えるかもしれないですね。

大島てる:実は再販業者を含めて、不動産業界側にいる支持者の存在は知っています。私としては、不動産業界が一致団結して反対してこられるのが一番やっかいです。だから、分断した状態を維持してもらい、各個撃破していけると都合がいいですよね(笑)。

夏原:だから、荒れるから各個撃破とか使っちゃ駄目ですよ(笑)。

小野:ガイドライン案ができ、行政も事故物件の対応に乗り出した。これから不動産業界と「大島てる」の関係にも変化が起きるかもしれませんね。

夏原 武 ルポライター、漫画原作者

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なつはら たけし / Takeshi Natuhara

代表作は『クロサギ』、『逃亡弁護士 成田誠』、『正直不動産』(すべて小学館)など。

現在、「ビッグコミック」(小学館)にて『正直不動産』、「サンデーGX」(小学館)にて『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』、「グランドジャンプ」(集英社)にて『カモのネギには毒がある-加茂教授の〝人間〟経済学講義-』を連載中。

 

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大島 てる 事故物件公示サイト「大島てる」管理人

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おおしま てる

事故物件公示サイト「大島てる」を2005年に開設。殺人、自殺、火災死、孤独死などがあった物件を“事故物件”として、日本全国のみならず海外までを扱い、WEB上で公示する。「大島てる」は英語版も存在する。

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小野 悠史 ライター

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1982年広島県生まれ。業界紙を経てフリー。不動産・住宅業界を中心に取材。市街地再開発や不動産行政、不動産テックの動向に注目している。

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