次世代鉄道の切り札?「水素技術」開発競争が激化 各国メーカーが注目、トヨタの燃料電池活用も
英国の鉄道産業協会(the Railway Industry Association/RIA) のテクニカルディレクターであるデビッド・クラーク氏は、国内の環境に配慮した雇用や投資を支援するため、また同国内の鉄道を2050年までに完全に脱炭素化するために、政府はできるだけ早く水素をエネルギー源とする車両を発注する必要があると述べた。
英国の鉄道インフラを統括するネットワーク・レール社は、政府目標である「2050年までのゼロ・エミッション化」を達成させるためには、最大で1300kmにおよぶ鉄道路線に水素燃料車両を導入する必要があるとしている。
一方、RIAは「鉄道脱炭素キャンペーン21」において、政府の掲げる鉄道網の脱炭素化を成功させるためには、2021年の今すぐにも、鉄道路線の電化と水素燃料電池および蓄電池車両の製造を開始する必要があると主張している。
余剰車両を使った開発も進む
脱炭素へ向けた戦略では、非電化区間の電化が最善の解決策ではあるが、前述のとおり電化工事には架線柱の設置や変電所の整備のみならず、架線を通すためにトンネルや陸橋といった線路上空の構造物も改修する必要がある。とりわけ蒸気機関車時代の古い構造物が多い英国では、電化に費やす経費と時間は膨大となる。水素燃料や蓄電池の活用は、この問題を解決する切り札として期待されている。
英国では、鉄道車両リース会社のポーターブルックが、余剰となった旧型電車319系車両を改造した「ハイドロフレックス(HydroFLEX)」を筆頭に、複数の燃料電池車両を試作しているが、現在のところ水素専用車両の発注はまだない。一方、アルストムは同様に余剰となった321系車両を使って「600系」(通称ブリーズ)と称する3両編成の試作型燃料電池車両を製作中で、近いうちに契約をまとめたいとしている。
脱炭素が次世代のキーワードとなる中、優れた水素燃料技術の開発が、今後のシェアを左右する可能性もあることから、これから各メーカーはさらに開発へと注力することになるだろう。数年後には、ディーゼル機関に代わる技術として、非電化区間の主流となっているかもしれない。
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