日本企業が知らない「アジャイル」変革成功の秘訣 完璧主義、ご意見番、自前主義の弊害を打破する
トップマネジメントの多くは、危機感を持ち、骨太の変革をスピード感を持って推進したいと考えている。また現場も、顧客の変化に対してスピード感を持って対応したいと思っている。
新たな思い切ったイノベーションや変革の取り組みの第一歩は、特別プロジェクトや少人数の特命チーム(=ロケット)からスタートするのが典型だ。
しかし既存の仕組みの中では、従来のオペレーションを守るために構築した安全機構に阻まれ、尖った部分が削られ、やりたいように進められず、ロケットの離陸がなかなかうまくいかない。何段階もの安全機構を持つ日本型の組織では特にそれが顕著だ。
変革のロケットを離陸させるためには、既存の仕組みの中からチームを括り出して、チームが徹底的に早く、自由度をもって動けるようにする必要がある。
コンサバな業界の老舗企業の取り組み
ここで、日本の基幹サービス業企業におけるエピソードを紹介したい。
この企業は「デジタルによる異業種参入」、「規制要請や競争激化によるマージン低下圧力」、および「顧客のデジタルセルフサービス行動の加速」による、「旧式な既存型サービスからの客離れと高コストモデルの限界」という大きな課題に直面していた。
この企業は目先の改善より、将来の事業の柱となる第二エンジン創出に注力することを決め、「現在のコア顧客でなく次世代顧客の育成・獲得」と、そのための「次世代顧客向けの新デジタルサービスの開発」という2つの明確なミッションを掲げ、アジャイルチームによる集中イノベーションを進めた。