急落した金価格は今後もさらに下落するのか 下落から反転するタイミングはいつになるのか

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今後はパウエル議長もこうした意見をまったく無視する形で、テーパリング開始を先延ばしすることはできなくなるのではないか。

もし、テーパリングが現実のものとなれば、アメリカの長期金利が改めて上昇、円が下落する形でドル高が進む可能性は高そうだ。この場合、金市場には一段と投機的な売り圧力が強まり、状況次第では1600ドル台前半あたりまで値を切り下げる展開となっても、何ら不思議ではないと考える。

中長期のスタンスなら大きな買いのチャンス

もし、金相場が本格的な上昇トレンドに乗るとすれば、恐らくはテーパリングの開始によって当面の売り材料がすべて出尽くしたとの見方が市場に広がってから、となるだろう。

テーパリングが今年中に開始するとなれば、当然ながら利上げ転換の時期も早まるとの見方が優勢となる。恐らくは2022年度後半にも最初の利上げが行われることになるだろう。

これまで、積極的な緩和政策によってあふれかえっていた資金も、市場から順次流出していくことになる。

もちろん、金市場からも資金は引き揚げられることになり、それがテーパリング直後の下落予想の根拠になっている。だが、これまで何度も最高値更新を繰り返し、バブルの様相を呈している株式市場からの資金流出は、さらに強烈なものとなる可能性が高いということも、忘れるべきではない。

安全資産としての金に対する需要が復活するのが大前提ではあるが、株式市場から逃げ出した資金の一部が流入してくるだけでも、金市場にとっては相当な押し上げ要因となる。またアメリカの株式市場からの資金流出が、ドル安の流れを加速させる可能性が高いことにも注意が必要だ。金市場同様に膠着状態が続いていた為替が、大きくドル安に振れることになれば、金に対する買い意欲が一気に強まることも考えられる。

局面は異なるが、2008年のリーマンショックの際にも、金市場からは真っ先に資金が逃げ出した。だが、その分相場の底打ちは株式市場よりも早かったし、反発もかなり大きなものとなった。テーパリングの開始に前後して金相場は大きく値を崩すかもしれないが、中長期で見ればそうした局面は、大きな買いのチャンスとなるはずだ。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

松本 英毅 NY在住コモディティトレーダー

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まつもと えいき / Eiki Matsumoto

1963年生まれ。音楽家活動のあとアメリカでコモディティートレードの専門家として活動。2004年にコメンテーターとしての活動を開始。現在、「よそうかい.com」代表取締役としてプロ投資家を対象に情報発信中。NYを拠点にアメリカ市場を幅広くウォッチ、原油を中心としたコモディティー市場全般に対する造詣が深い。毎日NY市場が開く前に配信されるデイリーストラテジーレポートでは、推奨トレードのシミュレーションが好結果を残しており、2018年にはそれを基にした商品ファンドを立ち上げ、自らも運用に当たる。ツイッター (@yosoukai) のほか、YouTubeチャンネルでも毎日精力的に情報を配信している。

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