意外に多い、著名建築家が手がける鉄道デザイン 集客期待大、工業デザイナーの手による駅舎も
高輪ゲートウェイ駅は折り紙をイメージした白い大屋根、木の板を凹凸をつけて貼っていく「大和貼り」を用いた壁などが特徴で、高尾山口駅では高尾山薬王院をイメージしたダイナミックな屋根を持ち、地元多摩産の杉材を用い、多彩な木組みを使って個性を表現している。
隈氏は「和の大家」と呼ばれており、自ら「21世紀は木の世紀」と語るなど、以前から和風建築とその材料に使われる木に着目してきた。
その姿勢は「杜のスタジアム」とした新国立競技場にも反映されているが、ここまで紹介してきた車両や駅舎にも、“らしさ”が表れていると思っている。
日立駅と「ラビュー」の関係
妹島氏も駅舎を手がけている。地元出身ということもあってデザイン監修を務めた茨城県のJR東日本日立駅だ。
旅客ホームの上にはガラス張りのコンコースがあり、そこから東西に自由通路が伸びている。西側はバスターミナルがある駅前広場につながっており、東側は海に突き出すように伸び、そばにはカフェがある。かつて通学で同駅を利用していた妹島氏が、海に近いのに海が見えないことを残念に思っていたことが、デザインに結実したようだ。
一方の西武鉄道ラビューは、同社ウェブサイトによれば、「今までに見たことがない特急車両を」という西武鉄道からの依頼を受け、風景とともにある特急車両、リビングのようにくつろげる特急車両、目的地となるような特急車両をコンセプトとしてデザインしたという。
筆者も乗車したことがあるが、曲面で構成した前衛的な先頭部とは対照的に、妹島氏が想像する西武鉄道のイメージという明るい黄色で統一された車内は、とにかく窓の大きさが圧倒的で、既存の観光車両とは次元の違う感動を与えてくれた。
妹島氏は個人事務所で活動するほか、同じ建築家の西沢立衛氏とSANAA(サナア)というユニットを運営している。このユニットの作品としては、金沢21世紀美術館がよく知られる。日立駅舎内や周辺に置かれている、Flower(フラワー)と名付けられたベンチも、SANAAのデザインである。
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